朝日新聞デジタルフランス司法省は19日、13日夜に起きたパリ同時多発テロ事件の首謀者で、ベルギー国籍のアブデルアミド・アバウド容疑者(27)の死亡を確認したと発表した。
仏警察は18日、パリ近郊サンドニで犯行グループの拠点のアパートに突入、銃撃戦になった。この際に死亡したとみられ、現場から死体が見つかったという。
指紋や掌紋など身体的特徴から身元を確認したとされるが、銃撃で殺害されたのか自爆したのかなど、詳しい状況は明らかにされていない。
18日の突入の際、銃撃戦で3人が死亡。1人は女でアバウド容疑者のいとこだと判明していた。8人を逮捕したが、アバウド容疑者は含まれていなかった。
アバウド容疑者は過激派組織「イスラム国」(IS)のメンバー。カズヌーブ内相は、フランスが今春以降、未然に防いだテロ事件6件中4件に同容疑者が関与しているとした。
仏検察当局の責任者は18日の会見で、「(容疑者らは)新たな犯行を計画していた」と述べたが、具体的な中身は言及しなかった。
地元メディアは、アバウド容疑者らがフランス経済の象徴であるパリ西部ラデファンス地区や、パリ北東のシャルル・ドゴール空港で新たなテロを計画していた、と伝えた。
事件は発生から6日で大きな節目を迎えたが、フランスやベルギーなど関係国でテロ情報の収集や分析に課題を残した。
仏政府は当初、今回のテロが「シリアで計画された」(オランド大統領)とし、アバウド容疑者はシリアから実行犯に指示を出しているとみていた。
カズヌーブ内相は19日、「アバウド容疑者がギリシャにいた、という情報を欧州外の国から得たのは16日になってからだった」とし、各国の連携不足を示唆した。
13日のテロの実行犯9人のうち、2人の行方もわかっていない。1人は国際指名手配されたサラ・アブデスラム容疑者(26)だが、もう1人は身元も不明だ。
AFP通信によると、ベルギー警察は19日、13日の同時テロに関連し、首都ブリュッセル西部モランベーク地区などを捜索。計9人を逮捕した。