ガソリン価格が更に上昇しそうだとのこと。これは、車を余り使わない世帯でも、これに連動する全ての物価に対する上昇によって影響を受けることは免れない。例えば、スーパーなどに買い物に行っても、主食である米の値段は昨年来30%以上は上昇しており、他の消費商品も同様に値上がりしている。これでは、多少の蓄えがあるとしても年金生活者は生活していけない。
確かに、我々の消費生活を振り返っても、1955年頃から1970年代まで続いた高度経済成長のおかげで、1950年代には、冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビ、掃除機などの三種の神器と呼ばれた製品が家庭に入ってきて、1960年代では、カラーテレビ、クーラー、自動車などに続き、2000年代には、デジタルカメラ、DVDレコーダー、薄型テレビが加わり、今では、スマートフォン、ロボット掃除機、ノートパソコンなども、普通に一般世帯でも所持している。この為、少し前までは、世代に関係無く、多くの消費者が生活の豊かさを実感できる時代が続いてきた。ところが、現在は、物価の上昇に比べ、むしろ、実質賃金は低下している可能性も指摘されている。
このインフレ状況は、年金暮らしで、貯蓄もそれほど無い高齢者世帯や奨学金などの借金を抱えた若者世帯を直撃しており、これらの世帯は、70歳以上になっても働き続けるか、少しでも消費を抑制して出費を抑えるしか方法が無い。また、この状況によって、例えば、闇バイトなどに応募する若者の増加などに象徴されるように治安の悪化を招きつつあり、このままでは、日本社会そのものの安定が脅かされることも予想される。また、昨年の総選挙で自・公の与党が敗北したのも、何も裏金問題だけの影響では無く、消費者物価の高騰による生活苦に、政府・与党の対策が、必ずしも行届いていないということでなかったかと考えている。これに対して、石破首相は、昨年所信表明演説の中で、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現に向けて、生産性向上や官民投資の加速に力点を置く姿勢を示したようだが、現在の我が国のインフレ局面に加え、トランプ大統領の誕生などの不安定な世界情勢の中で、果たして、所信表明演説の中で述べている施策がどれだけの効果を発揮するだろうか。
今年は参議院選挙もあるし、少数与党で、石破内閣が不安定なこともあり、解散・総選挙の可能性もある。与党だけではなく、野党についても、税金などの国民負担を上げるだけではなく、国民の生活を守るという視点が今まで以上に問われる年となるだろう。大手マスメディアの隠ぺい体質や、政権に忖度している姿勢は、SNS情報などを国民が見て各々が判断することによって明らかになりつつある。国民民主党が得票を伸ばしたのも、ネットを選挙に利用することが巧みであったことにもよるが、国民生活に政治が直結しているという実感を国民が持ちつつあるという現れでもあろう。
「お金を持たままで死んでも何にもならない」とは、よく言われることだが、かといって、いつまで生き続けるかもわからない以上、今ある財産を使い切らないように節約することが肝心だろう。本当に必要な物にしか消費しないということを徹底していきたいと思っている。