マスメディアの偏向報道や報道しない自由という傲慢な姿勢については、ここ数年で明らかになってきつつある。そもそも、事件報道や政治報道についても、記者クラブ制度で警察や政府の発表をそのまま流すことが行われてきたし、それがある意味では冤罪事件発生の原因の一つであったり、現実政治から、むしろ国民の関心を遠ざけてきて、ある時には、ポピュリズム的なものが持て囃される傾向まで作って来た。
マスメディアの実態が国民の目に明らかになりつつあるのは、ネットの発達によってSNSの中では虚実様々な情報が氾濫して弊害も多いものの、ネットで流れているものの中には、マスメディアでは報道されなかったような情報も含まれ、マスメディアが、故意に切り取ったり、誇張したり、隠したりすることもあると我々にも判ってきたことによる。勿論、我々にも、ネットで流れている情報が、どれだけ正しいものか、歪められてないかを精査して判断する必要があるが、今まで見過ごしてきたマスメディアの報道姿勢そのものも厳しく問いたださなくてはならない。
新聞やテレビが報道している情報は、必ずしも正しいものでははない。例えば、ジャニー喜多川問題について、或いは、木原事件について、今回の中居トラブルについて、大手マスコミは、真実を知る立場にありながら、何も報道してこなかったし、特に、ジャニーズ事務所の問題については、最高裁の判決まで出ても、その問題点を指摘することはなく、テレビでは、ジャニーズタレントが出ていない日は無いほどであった。BBCの報道という外圧が無ければ、大手マスコミの報道は無かったのである。今回の中居トラブル事案についても、週刊誌やスポーツ新聞は報道していても、ネットでは大炎上していても、大手新聞社は報道していないし、テレビのワイドショーも取り上げていない。まさに、マスコミは、自らの都合と利益を考えて報道していないと取られても仕方がなかろう。木原氏の妻の元夫に関するトラブルもそうであり、木原氏が政治の中枢にいることから報道にも忖度が働いたといっても良いだろう。
このマスコミの姿勢は、外国のニュース報道についても見られ、現外務大臣が、何年か前に中国の企業から何らかの利益供与の対象となっていて、それが米国で問題になっていることすら、きちんとした報道がなされていないように見える。この外務大臣は、先頃中国訪問をして、中国の富裕層へのビザの十年間有効の約束をしてきたし、他の外国と比較して、我が国の中国への忖度姿勢は余りあるように思える。そんな我が国の一部にみられる親中姿勢が米国の不信感を呼び、今回の日鉄のUSスチール買収の破綻決定の一因であったことも考えられるのではなかろうか。
東京一極集中による地方の疲弊と人口減少という大問題についても、マスコミの報道姿勢は、中立を装っているものの、その差し迫った危険性を取りあげようとせず、何か偏ったように見える。これは、防衛問題についても言えることで、リベラルを気取ることの多いマスコミは、戦前の軍国主義的傾向を引き合いに出して反対し、防衛力や抗堪性の強化が、むしろ戦争に巻き込まれる危険性を低下させるということすら議論しようとしない。
ネットの中の情報の多くも偏っていて、間違ったものも多いが、かといってマスコミの報道が正しいとは言えない。物事の本質を見抜き、誤った情報に惑わされない為には、我々一人ひとりが全般的な教養力を身に付ける必要がある。ところが、我が国では、依然として知育偏重教育が行われ、有名大学に入学することのみがステータスと見なされている。幾ら、最高学府を出て成績優秀であっても、物事の本質を見抜く力の無いような人は、政治家や官僚などになると、むしろ有害な場合も多い。