JR長野駅前で男女3人が刃物で刺され死傷した事件の容疑者が逮捕されたが、捜査の決めてとなったのは防犯カメラやドライブレコーダーの追跡捜査だったとのこと。都会はともかく地方では、未だに防犯カメラを設置している所も多くないが、最近のこの種の捜査には防犯カメラ等の活用が欠かせない。ところが、一昔前には、警察などが防犯カメラの設置を自治体等に要望すると、個人情報が洩れる等の理由で反対をする者がおり、マスコミの一部などにも反対する声があった。マイナンバーカードの普及においても同様に反対する声がある。思うに、反対する人々については、個人情報の漏洩を恐れるということもあるかもしれないが、むしろ、警察や税務署などの公的機関に個人情報を管理されることを懸念しているものもあると考えられる。しかし、何を恐れているのだろうか。かって社会主義を国是としていた中華人民共和国においては、厳格な監視社会の国になり、監視カメラの設置個数は一億個を超えるとも言われている。誰がどこにいて、どんな買い物をしたのか、誰とスマホで通話したかも、公権力が必要とすれば直ちに抽出できるような状況にあるようだ。
かって、ジョージオーエルが小説「1984年」で描いたディストピア世界が、中華人民共和国で実現したかのようでもある。おそらく、防犯カメラやマイナンバーカードに反対する人々は、そのような世の中になるのが嫌なんだろうと想像しているが、でも、共産党の一党独裁で普通選挙も無いような中華人民共和国と、一応は、選挙によって曲がりなりにも国民の意志が示される国とは違っていないだろうか。確かに、我が国でも政官財と大手マスメディアの一部が癒着していて、政権が、マスメディアや広告業者を利用することによって世論誘導をしている可能性もあるが、それでもSNSでの情報の拡散もあって、裏金問題や庶民を苦しめている物価高などで世論が沸騰することによって、政権交代する可能性もある。そこが、一党独裁国家と民主主義国の違いでもある。
防犯カメラの問題について言えば、もちろん、多少の功罪もあるだろうが、犯罪が凶悪化・広域化していて、都市化が進んで、核家族化して地域の連帯も薄れ、孤立世帯も多くなっている現状では、防犯カメラを多く設置して、犯罪捜査や防犯効果に期待することが急務ではなかろうか。何も後ろ暗いことが無ければ、防犯カメラに写されていても何等恐れる必要もないし、マイナンバーで所得を把握されるようになっても、別に後ろ暗いことが無ければ何等問題はないだろう。
今日、フジテレビ社長の再度の記者会見がある予定であるが、前の会見でフジテレビが被害者のプライバシーの保護等を言い訳にして言っていないことは、フジテレビの番組制作局幹部プロデューサーが、以前から、有力タレントなどと被害者を含む女性社員などとの会食をセッティングしたことがあったのか、女性から相談を受けて社長まで報告すべき重要事案と判断したのに、何故、コンプライアンス担当部署等に情報の共有がなされなかったのか、或いは、当事者である中居氏への聞き取りや抗議が成されなかったのかという点である。前の会見では、このような当然の疑問点を隠して、自分達に都合の良いことのみを述べて、恰も、自分達の対応が間違っていないかのように印象操作しようとするから、世論やスポンサー企業から疑惑を抱かれてしまったのではなかろうか。隠すよりも、真実をあからさまにする方が良いという実例だろう。