「アイシー・瞬間記憶捜査 柊」というフジテレビ制作のドラマを見た。ドラマの中で、7年間誘拐され監禁されていて精神的にダメージを受けた女性の姿が描かれていたが、それが、元フジテレビアナウンサーの渡邊渚さんが、入院中の自分の姿としてネットに上げていた、やつれた顔が連想されて、それ以上ドラマは見ていられなかった。このドラマ関連で、フジテレビ系「何か“オモシロいコト”ないの?」(月曜後11・00)が20日深夜に放送されたが、ゲスト出演予定だった女優の波瑠(33)が体調不良のためとして出演を見合わせたとのことだったが、波留にしても、渡邊さんの入院中の姿と、ドラマに描かれている女性の姿が似ていることに気が付いたら、体調不良を言い訳としても、とても、そのバラエティに出演は出来なかったのではないだろうか。そんな想像をしてしまった。
フジテレビが、当初、個人間の関係で起きたトラブルと認識したとしても、加害者と被害者の間は、番組での共演等もあったとのことで、業務を通じた関係があったと推定できる。それであるなら、会社としては、加害者に対しても何が起こったのかを聞き取りをすべきであるし、仮にトラブルに対する受け止めに当事者間に認識の相違があったとしても、事案が明確になるまで加害者の番組出演を休止したり、編成関係社員が関わっていないのか等も調査すべきであっただろう。幾ら、被害者のケアとプライバシーの保護を重視したとしても、そのまま放置することによって、他の社員が加害者によって被害を受けかねないことも考えると、フジテレビのこの問題に対する初期対応は人権DDの面からしても看過出来ない。
※人権DD
人権デューデリジェンスとは、企業が自社やそのグループ会社の人権侵害に関するリスクを評価し、対策を講じ、結果を検証し、公表する一連のプロセスのことをいいます。企業活動における人権侵害としては、例えば、劣悪な労働環境での労働、違法な低賃金労働、パワハラ、セクハラなどのハラスメント、人種、性別などによる差別的な取り扱い、などが挙げられます。企業が人権侵害のリスクに十分に対応しない場合、人権を軽視する企業として、投資家や顧客や従業員から見放され、結果的に企業の信用が失われ、企業価値が毀損されるおそれがあります。そのため、企業は人権デューデリジェンスを行い、人権侵害のリスクを抑え、万一人権侵害のリスクが生じた場合にはしっかりとした対策が取れるような体制を構築しておくことが肝要です。
特定された人権侵害が存在する場合、企業は以下の活動を通じて、人権侵害の防止や、将来の人権侵害リスクを軽減するための措置を講じます。
具体的には、人権侵害が確認された場合は、直ちにその行為を停止する措置を実施します。直ちに停止することが難しい場合は、顧問弁護士や影響があるステークスホルダーと協議し、緩和的な措置や監視方法について検討し、改善に向けたロードマップを作成します。将来的な人権侵害を防止するため、具体的な再発防止策を策定します。これには、従業員教育の強化、関係者への啓発、法令遵守の監視、問題の早期発見・報告システムの確立などが含まれます。