ブログ仙岩

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今昔の疫病

2021-05-26 04:48:14 | エッセイ
21日福島民報あぶくま抄に、徒然草に、鎌倉時代、伊勢の国から、女の鬼になったのを連れて上京した者があるという噂が立って、二十日ばかり京白川の人たちは、鬼見たさに右往左往、昨日は西園寺、今日は院の御所に参るそうだとか、まことしやかに広まった。
その頃、私は用があって東山から安居院のあたりに出かけることがあったが、四条から北の方の人がみな、北をさして走る。<一条室町に鬼がいるぞ>と大きな騒ぎになり、人が通れそうもないほど混雑、当然ながら出会えた者などいるはずもない。流言飛語に惑わされる当時の人々の様子がおかしくもあり、哀れでもある。
<その頃、おしなべて、二三日、人のわづらうこと侍りしぞ、かの鬼の虚言は、このしるしを示すなりけりといふ人も侍りし>。あまりに密になりすぎ疫病が流行ったのかもしれない。今も昔も、感染症にはソーシャルディスタンスが欠かせないことか。
「あの鬼が来たという流言飛語は、この流行病の前兆だったのだな」という人もいた。
コロナ感染拡大には、蜜の回避、マスク、手洗いなど心を鬼に徹してやるしかない。