祭りを盛り上げる囃子の中心は、大きな音の大太鼓と、甲高いリズムの締太鼓。
これらの太鼓の製造を二本松市の田中太鼓店がになっている。
田中智子さんが55年前に太鼓作りを始めたが、もともと夫が作っていたが、他の仕事が多忙で、
見よう見まねで智子さんが作るようになり、一通り出るようになっても、皮のなめし方が難しく、軌道に乗るまで5年かかったという。
その皮が腐ったり、力仕事にもめげずに腕を磨き、時間をかけて柔らかく仕上げるのが田中太鼓店の特徴。
まず一頭分の牛革を、不要な毛や油をナイフで剥ぎ取り、一年間乾燥させて、一枚一枚に癖があり張り方に気を遣うと。
なめしや張りは今では20年ほどやっている息子がやり、縫いや塗りの仕事は息子の妻が手伝う。
太鼓の大詰めはジャッキで皮を張り上げる本仕掛けで音色が決まり、依頼主の音色が変わらない内に、仕上げの鋲を打つ。
家族三人の職人が丹精込めた太鼓の見事な響きが、祭りに集う人々の心を熱くする。ハイ!みんぽう8月号より。