10 ギデオンの召し
ギデオンは、この時麦を打っていました。それも酒ぶねの中で打っていたわけです。通常麦を打つのに、酒ぶねで打つ必要はありません。酒ぶねは、だいたい町の外れの、低い位置にあるわけです。ブドウ畑で収穫したブドウをその場所にどんどんおろしていき、そこで、それを踏みつけて葡萄酒にしたりしていたわけです。ですから、麦をそんなところまで、運んで打つのは、おかしなことなんですね。ギデオンは、ミデアンの兵士を恐れたいたわけです。ですから、少しの麦をとって、酒ぶねのなかで、夜にひっそりと、麦を打っていたのです。
そのようなときに、天使が現れました。そして、こういったのです。
「主の使は彼に現れて言った、『大勇士よ、主はあなたと共におられます』」(同6:12)。
ちょっと、不思議だと思われませんか?ギデオンのしていることは、臆病者のような態度なんですね、ミデアン人を恐れて、ひっそり、こっそり、麦を打っているわけです。人目をさけて、夜に麦を打っているわけです。そのギデオンが、「大勇士よ」と呼ばれるわけです。
とても、不思議ですよね。恐れて臆病な、麦を打つ男に、神様は「大勇士よ」と呼びかけられるわけです。この民を救うための器とすると言われました。私の軍の将軍にするといわれたのです。しかし、ギデオンは、その言葉を信じることができませんでした。そして、「もし、あなたが紅海を開き、乾いた地で、私たちの先祖を養ってくださった神様で、また、私が大勇士なら、このような現状がなぜ起きるのでしょうか?」と尋ねます。
まさに、多くのイスラエル人が餓死している、そのようなことがなぜ起きるのでしょうか?そのように思ったわけです。しかし、神様は、「私があなたを大勇士と呼んだので、あなたは、大勇士になったのだ」と言われるわけです。
そこで、確信がほしいギデオンは、「どうかここで待っていてください」とお願いして、供え物をするために、なけなしの肉とスープを持ってきて岩に置きました。すると、御使いが持っていた杖の先から炎が出て、それを焼き尽くしたわけです。そこで、彼は、目の前にいる方が神様であることを知るわけです。