日本の心・さいき

日本の文化を通じて、世界平和を実現させましょう。

熱さまし

2006-10-30 11:06:52 | Weblog
熱で来院した場合の、当院での処置、処方に付いて
平成18年10月30日(月)(記載責任者:小児科医 田原正英)

自分の方法でどうしてもしたいと言う先生方は、その方法でもいいのでしょうが、当院小児科では、既に、漢方薬で処置をしてきていることが多いので、それを加味して、以下の如くに整理して、書いてみました。

熱さましとして、黄連解毒湯を温めた10mlの生食と一緒にして注腸。エキス剤の量としては、症状により、多少の増減はありますが、大まかには、乳児2分の1~3分の1、それ以上は、3分の2~1包です。乳児半包、それ以上は1包と覚えて頂いても結構です(錠剤が服用できれば、内服に)。
「黄連解毒湯」の使い方、・・・・・解熱剤としては、非常に強いものです。興奮を抑える作用もあります。熱証に使用しますが、一番いい症例としては、逞しい感じの人(大半の子どもに使用できます)で、熱が既に悪寒状態でなくて上がり切っていて、39度前後の高熱で、手や足も熱く、顔も赤ら顔で、咽頭も舌も赤く、眼も充血気味で、脈も強く(洪脈)、熱で不機嫌であれば、一番証が合うと考えて下さい(例えば、アデノウイルス感染症や川崎病の場合です)。以上の全てが揃わなくても、興奮気味で、高熱で、手足が熱く、喉が赤ければ、いいと思います。恐らく、30分経たない内に、顔色も良くなり、穏やかになり、脈も来院時よりも良くなっていることと思います。もしも、高熱なのに、顔色青白く、手足も冷たく、興奮気味で、熱できつそうにしていれば、葛根湯を同じ量加えて注腸(中医学では、黄連葛根湯と言う治療法あり)。
「葛根湯」の使い方、・・・・・・原則的に、初期に用います。悪寒があり、熱が完全に上がり切っていない感じで、手足が冷たくて、首筋や関節や頭を痛がる時が、一番証が合うと思います。脈は、(右の寸が一番初めに浮脈となる)強く触れます。インフルエンザでは、よく効きます。但し、か細い人では、桂枝湯の方が無難かも知れません。
「桂枝湯」の使い方、・・・・・・脈が風邪の初期でも弱く、汗をよくかく人で、少しか細い感じの人であれば、特に、汗をかいた後であれば、葛根湯よりも桂枝湯の方が、証が合っている場合が多いかも知れません。桂枝湯で、時に、皮膚を痒がる子がいますので、その既往があったり、シナモンを嫌がれば、処方を避けて下さい。
「白虎加人参湯」の使い方・・・突発性発疹症によく使用しますが、他のウイルス疾患でも、高熱で、喉の渇きが強く、汗が良く出る、顔色が青白い感じの時に、使用出来ます。
「柴胡桂枝湯」の使い方・・・・迷ったら、柴胡桂枝湯を使用すると、無難かと思います。小柴胡湯+桂枝湯の合剤で、こじれた風邪に使用されますが、風邪の予防にも、初期の風邪にも、使用できます。


当院の外来の小児救急箱には、熱さましとして、黄連解毒湯(15番)(錠剤も)以外に、葛根湯(1)(錠剤も)や麻黄湯(27、原則的には、1日分)(錠剤も)や桂枝湯(45)や柴胡桂枝湯(10)(錠剤も)や白虎加人参湯(34)や小青龍湯(19、アレルギー)(錠剤も)や川きゅう茶調散(124、頭痛)や香蘇散(70、胃腸の弱い人の風邪の初期)や参蘇飲(66、胃腸の弱い人の風邪のこじれ)や竹じょ温胆湯(124、インフルエンザのこじれなど)なども用意しています。
原則的に、深夜は、1日分で、翌朝、かかりつけか小児科を受診すべきでしょう。
*発疹疾患の熱には、葛根湯でなく、升麻葛根湯(101)を使用すべきでしょう。

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自然と人との共生

2006-10-30 07:18:19 | Weblog
Hundertwasser(1928-2000)
フンデルトヴァッサー展が、11月12日まで、メルシャン軽井沢美術館で催されている。彼は、人間と自然との共生を表現し続けた芸術家として世界規模で活躍し、自然保護を訴え、反核を強く表明した。
彼の考えは、ユニークで、第1の皮膚は、生物の皮膚、しかし、第2の皮膚は、洋服であり、第3の皮膚は、家であり、第4の皮膚は、自然であり、第5の皮膚は、自然環境と考えた。
らせんを自然の持つ力を表現する形と考え、直線を模倣の線と考えた。ヒトの家も、自然が主体で、それに家があるべきだとの考えである。
直線を邪道と考え、不道徳と考えている。そう言われれば、人間の体にしても、角が90度で出来ているものって、ないなあ。自然を見てもそうだ。それに引き換え、人間は、四角のもので囲まれてばかりだ。これでは、自然でないので、ストレスも溜まるのが自然だろう。


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