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喘息は、多くの人が知っているが、このクループに関しては、余りよく知られていない。
昔の人は、ジフテリアを疑い、喉締めと言っていたが、今は、ジフテリアは、ない。私も、ジフテリアを診たこと、ない。
喉頭炎である為、声帯が腫脹して、声がかすれ、独特の咳をする。一度、その咳を親御さんが聞くと、忘れない。夜の2時~6時の間、咳き込む。そして、最悪な時は、息が止まってしまうこともある。
経験的には、2歳~4歳の男の子がひどくなり、3日間が特にひどく、その中でも、初めの日が一番ひどい。一度で終わることは少ない。殆どの場合、ウイルスであるが、時に、細菌のこともある。細菌性の場合は、急性喉頭蓋炎との鑑別が必要で、両者共、インフルエンザ桿菌B群により起き、熱が高くて、吸気性呼吸困難の症状で、重症となる。が、実際は、殆どの場合は、ウイルスで、パラインフルエンザⅠ型のことが多いと思われる。冬のインフルエンザや夏カゼがない時の春や秋に多い感じである。ウイルス同士も、お互いに、縄張り争いをしているのかも知れない。
治療は、ウイルスなので、特効薬はない。症状をとるしかない。で、痰切れのムコダインやムコソルバンをあげ、ひどい時は、副腎皮質ホルモンを処方している。副腎皮質ホルモンを、一日分しか、それも、寝る前しか与えないこともある。気管支拡張剤は、効かない。咳止めは、私は、あげない。喉頭の腫脹を改善するボスミンの吸入をしばしばしている。点滴も、もちろん、ひどい時には、いつもしている。「夜ひどくて、眠れない様だったら、遠慮せずにいつでも来ていいです。その時は、又、今のと同じ吸入をしましょう、3時間は、もつから」と説明して、親を安心させている。
クループから、咳が次第に変わってきて、気管支喘息や気管支炎になって行くこともある。こうなると、治し方も変わるので、その変化を細かく診ていかないといけないが、過去にそれに移行していることがあれば、前もって、気管支拡張剤を与えている。
クループでは、私は、乳製品をあまり勧めないが、それは関係ないと言う人もいる。気管支喘息と同じ様に、精神的なことが大いに関係していていた例を何例か知っている。
クループで何度も小さい時に、小児科を受診していても、小学校に上がると、喉頭が大きくなってくるせいか、起きなくなることが多い。
クループも医師にとって、奥が深い疾患である。