学級のスタート同時に
「いじめは絶対に許さない」
ということを子どもたちに伝えるようにしています。
これを言うときは,私のもてる威厳と,熱意と,話術と,経験の全てを出し切って,伝えたいと思っています。
子どもたちは,過去の学年でも何度も「いじめは許さない」という話は聞いてきていることでしょう。
でも,
「今度の担任は,これはマジで本気だぞ。」
そう思わせたいのです。
圧倒したいのです。
年間を通して何度もこの手の話はしていくのですが,一発目となるこのときが一番大事です。
いじめを阻止するための話は,いろんなものがありますが,私が一発目に話す話は決めています。
いじめを恐れている子を安心させたい。
「今年はきっと大丈夫だ」と思わせたい。
いじめをやってしまう可能性のある子を阻止したい。
「この先生の前で,いじめができるはずがない。」と思わせたい。
その一心で,私が子どもたちの出会いに際して話すことの全てが,以下の通りです。
いじめとは,相手を傷つける行為が,一方的あるものです。
さらに,その一方的な行為が,継続的であるものです。
これを「いじめ」と言います。
先生は,このいじめを絶対に許さない。
絶対に。
絶対に。
じゃあもし,先生の前でいじめが起きたらどうなるか,今のうちにみんなに話しておきます。
Aさんが,Bさんをいじめた場合。
先生は,100%Bさんの味方になります。
Bさんを守るために,先生は先生のもってる全ての力を使ってAさんをやっつけます。
子どもだからって,一切容赦しません。
どんな手段を使ってでも,Aさんをやっつけます。
先生は怒るとものすごく怖いし,相当な力がありますからね。
悪を倒すために,先生は鬼になります。
そして,先生はさらに味方を増やします。
まずこのクラス。
先生と同じように,Aさんがしているいじめを許せないという子たちを全員集めて,Bさんと先生の味方にします。
もっと増やします。
他のクラスの子たちも味方につけます。
先生はこの学校で人気がありますからね。
先生が声をかけたら味方になってくれる子たちは全員呼び集めます。
そして先生にはさらに心強い味方がいるんです。
この学校の全ての先生たちです。
先生たちもいじめは許さないと思っている正義の味方です。
そうだ,去年卒業した,中学一年生の教え子も呼ぼう。
先生が「頼む」と声をかければ,あの先輩たちは必ず集まってくれます。
うん,そうしよう。
どうですか。
これでBさんと先生には,すごい,すごい数の味方ができました。
この全員の力をもって,Bさんを守ります。
Bさんに「もう大丈夫だよ」「安心して学校にいていいよ」と伝えるんです。
そして,Aさんをやっつけます。
AさんがBさんにした悪さの,何十倍,何百倍もの苦しみを与えてやる。
そしてAさんが
「もう学校に来たくない」
と泣きだすまでやり続けます。
あたりまえす。
だって,Aさんがしたことは絶対に許されないことですから。
いじめという悪は,これくらいしてやっつけるべきなんです。
以上です。
今の話は,うそでもおおげさでもなく,全て本当の話です。
もう一度言います。
先生は,いじめを絶対に許しません。
以上の話を,最初に書いたように,私のもてる威厳と,熱意と,話術と,経験の全てを出し切って,話します。
この話をして,子どもたち全員に息を飲む様子が生まれたら,ひとまずねらいは達成できたと思っています。
しかし,誰か一人でも軽い態度で見ている子がいたら,要注意です。
子どもたちの様子を隈なく観察しながら,話すようにしています。
道徳的な話ではなく,ほぼ「脅し」であることは百も承知です。
決して美しい話ではないのですが,私の経験上,「悪を断ち切る」という行為は,こういったものからスタートすべきだと感じているから,そうしています。
まだ幼い子どもたちに,理屈抜きにまずは
「だめ!」
と思いこませるべきだと思っています。
道徳的な面を育てていくのは,その後です。
いじめをしていない自分を,クラスを,みんなで褒めていく,誇らしく思っていくという形で心の面を育てていきます。
これが私のやり方です。