「せんせ~ ひとしくんがね,悪口言ってくる~」
「せんせ~ さとみちゃんが,コソコソ話してるよ~」
「せんせ~ たくみくんね,ぜんっぜん掃除しないよ~」
子どもは「言いつけたがり」です。
お友だちといて気に食わないことがあると,先生の力を借りようとします。
悪いことをしたお友だちを先生に叱ってもらって「ほらね」なんて,いい気分になろうとしてるのでしょう。
私は今年,一年生担任。
まぁ,毎日言いつけに来る子たちが絶えません。
この言いつけに来た内容が本当に重大なことで,すぐにでも駆けつけて対処しなくてはいけないことであれば,そうするのですが,中にはそうでない言いつけもあります。
ささいなことだったり,先生の力を借りずに自分たちで解決してほしいことだったりするものも多いです。
あつし「せんせ~ ゆめちゃんが消しゴム貸してくれないんだよ~」
先生「(また来たね…) ゆめちゃん!あつしくんに消しゴム貸してあげなさい!」
ゆめ「だってー,あつしくんがいつも忘れるのがいけないんじゃん!」
先生「…あつしくん,いつも忘れてるの?」
あつしくん「いつもじゃないよ!ぼくもゆめちゃんが忘れたときは貸してあげたのにー」
ため息の出そうなやり取りが続きますね(笑)
言いつけに来る子に,いい対処の仕方はないものかと考えます。
絶対にとは言えませんが,時折効果がある方法として,
言いつけに来た子には,自分に目を向けさせる!
ようにしています。
ひかり「せんせ~,たいせいくんね,ちっとも掃除しないで遊んでるよ~」
先生「そうかぁ,たいせいくんは注意しとこうね。ひかりさんは掃除してる?」
ひかり「え?わたし?うん,してるよ。もう雑巾5回したよ。」
先生「えらいぞ。先生はきちんと掃除できる人が好きだな。10回まであと5回だね。行っておいで。」
ひかり「はーい。」
といった感じです。
よくないことをしてる友だちのことを言いつけに来るわけですが,逆にそのことについて「あなたは?」と切り返します。
子どもは一瞬「え?」って感じの表情をして,自分のことを考えます。
「わたしはきちんとしてる」という返事なら,それをほめてあげて,「いらぬことに関わらず,その調子でがんばれ」と励ましてあげます。
中には,「実はわたしもちょっと…」と,お互い様のこともあります。
そのときは,言いつけに来たがために,逆に注意を受けることになります。
要するに,他人の上げ足をとるような,先生の力を利用するようなことをする子の,目線を変えてあげるわけです。
「先生は,悪い子とするお友だちを叱るより,きちんとがんばるあなたを応援するよ。」というスタンスを示します。
継続することで,細々とした言いつけも減り,ささいなもめごとも減るのではないかと期待しています。