何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

勝負飯 テキカツはいかが?

2017-07-04 12:00:00 | ニュース
それまでカッターシャツ一枚で熱戦に臨んでいた勝負師が、試合開始からほぼ半日を過ぎた頃、おもむろに上着を身に着け、お茶を口にした後 投了した姿に、感動した。
将棋や囲碁に投了というものがあるのは勿論知っていたが、投了する場面を見たのも初めてならば、それに続いて感想戦なるものがあることを知ったのもつい最近のことなので、今更ながら将棋というものに感動している。

高校野球の試合終了の際に鳴らされるサイレンなども、負けて聞く場合はうら悲しい響きがあるが、これを自分で鳴らすことになる投了という行為の厳しさと潔さ、そしてノーサイドもしくはエールの交換ともいえる感想戦、すっかり感動してしまった。

<連勝ストップの藤井聡太四段「完敗でした」 大記録と記憶残し新たなスター>
産経ニュース2017.7.2 22:53配信より一部引用
デビュー戦から半年、無敗のまま走り続けた14歳の快進撃が止まった。将棋の最年少棋士、藤井聡太四段が2日に行われた竜王戦決勝トーナメント2回戦でプロ初黒星を喫し、自身が持つ歴代最多連勝記録は「29」で途絶えた。「30」の大台は逃したが、プロ初対局から並み居る年長者を次々退けてきた中学生棋士は、大記録と強烈な記憶を残してまた新たなスタートを切る。
「負けました」。午後9時31分、藤井四段が小さな声で投了を告げ、頭を下げた。プロ入り後初の黒星が決まった。
「機敏に仕掛けられて、そのまま押し切られてしまった。完敗でした」。大勢の報道陣に囲まれても大きく表情を変えず、淡々と一局を振り返った上で「連勝はいつか止まるもので仕方ないこと。気にしていない」と語った。


とは云うものの、ここまで将棋に関心を持った切っ掛けは、’’勝負メシ’’ 報道。

<藤井四段の「勝負メシ」は?>  FNN 06/25 18:51配信より一部引用
将棋の藤井聡太四段が26日、前人未到の29連勝を懸けた対局に挑む。毎回目が離せない藤井四段の対局だが、合間に取る食事にも、注目が集まっている。26日の大一番は、どんな「勝負メシ」を選ぶのか。
デビュー以来、快進撃が止まらない将棋の中学生プロ棋士・藤井聡太四段(14)。
6月21日の澤田真吾六段との対局で、歴代1位の公式戦28連勝に、30年ぶりに並んだ。
この大記録を支えている藤井四段の勝負メシは、いったい何なのか。
都内の将棋会館の近くにある「みろく庵」というお店。対局時に棋士が出前を取ることも多いこの店は、藤井四段にも「みそ煮込みうどん」を届けたことがあるという。創業以来、対局に臨む棋士たちの胃袋を支えてきたオーナーは、「ぜひ新記録を達成してほしい。地方の方でも、このお店を目指して来られる方が、藤井さんと同じものを食べたいっていうお客さんが、いらっしゃいます」と話した。
そんなお店が26日の大一番にお薦めするのは、カツ丼とそばが一緒に楽しめる「かつ丼セット」。
ボリュームたっぷりなこの料理は、店の人気メニューでもある。
ご飯だけでなく、長時間の対局となる棋士を支えるのは、おやつ。
5月18日の対局で、藤井四段の脇に置かれていたのが、不二家のチョコレート「LOOK」。これを見た不二家の社長は、感謝を込めて、320箱ものLOOKを関西将棋会館に送ったという。
パワーの源、勝負メシにも注目が集まる藤井四段。
歴代単独1位となる公式戦29連勝を懸けた戦いは、26日午前10時から行われる。


「将棋めし」(松本渚)という漫画があるくらい、将棋ファンにとって棋士の昼食は気になるものらしいが、これまで一度しか将棋盤に触れたことがない ※ 私なので、連日 昼食ごときが話題になるという奇異さから、今回初めて将棋に興味をもち、将棋に関する本を読んでみた。

「サラの柔らかな香車」(橋本長道)
作者・橋本氏自身が、中学生将棋王将戦の優勝をひっさげ奨励会に入会し1級まで昇級した(つまり四段には届かなかった)という経歴のためか、「才能って何だろう?天才ってどういうことだろう?(本書 帯より)」という疑問が繰り返し提示される。
本書は、この普遍的なテーマのおかげで、将棋そのものを知らない読者をも惹きつけることが出来るのだと思うが、それについては次回に考えるとして、今回はどこまでも’’勝負メシ’’に拘っておこうと思っている。

前人未到の29連勝がかかった日の勝負飯は、前日のテレビ番組の予測が外れ、「キムチうどん」(950円)だったようだが、棋士はこの昼食をどこで取るのだろうか?
このようなことは将棋ファンなら周知のことだろうが、「サラの柔らかな香車」には、対局室に近隣ホテルから昼食が運び込まれる場面があるから気になったのだ。
昼食が終わり、いよいよ緊張が強いられる中盤戦が始まろうとするとき、対局室に ほんわかと味噌煮込みうどんやカツ丼の匂いが漂っているのは、どうなのだろうか? ましてキムチの匂いが充満していては・・・・・。
対局中の おやつも、藤井四段のチョコレート「LOOK」なら、一粒づつ口に放り込めるので良いが、本書のようにフルーツ盛り合わせとかフルーツパフェが運ばれてくることが実際にあるのだろうか?

本書の「才能と挫折」という高尚な大テーマに取り組む前に、テレビマスコミ的に一番重要である食べ物の問題について深く考えてみたりしている。

追記 ※
子供の頃から現在に至るまで将棋にも囲碁にも縁がないのだが、たった一度だけ将棋盤に触れたのが、小学校入学を前に机を買うため訪れた家具屋さんでのことだった。
店の一角に本格的な将棋盤が並んでいるのを見た私は、「勝負に口無し(口を挟むな)という意味で、将棋盤の足はクチナシの花の形を模っている」と小賢しいウンチクを店員さんに垂れたのだが、そこは向こうも商売人、「あら偉いわね、机を購入して下さったら、ご褒美に、このデスクマットをプレゼントするわね」と。すっかり煽てに乗せられ、そのお店で机を買うことになったという懐かしい思い出がある。
将棋というと真っ先に思い浮かぶのが、緑のデスクマットという私が読んだ将棋本「サラの柔らかい香車」の感想については又つづく