このスタイルがいいね とワンコが言ったから、7月10日はちっち記念日
毎年この日を意識するわけではないけれど、でもワンコ記念日としては忘れられない日でもあるんだよ ワンコ
二度目の予防接種がすみ、ようやっと外へ散歩に出るようになったのは、
ワンコが生まれて4か月半を過ぎた頃だったけれど、
いつまで経っても、男の子らしく片足をあげてチッチしようとしないワンコを、皆不思議に思っていたんだよ
それが、誕生から7か月半がすぎ、初めての夏を迎えた7月10日の朝、
ワンコは突然、かっと片足をあげチッチしたんだね ワンコ
それまで何の予兆もなかったから、驚きと嬉しさで歓声をあげてしまったことが、
昨日のことのように思い出されるよ ワンコ
誰が教えたわけでもないのに、きちんと本能にしたがって片足チッチをしたワンコ
それは、寄る年波に逆らえず女の子ちっちスタイルに変わるまで、15年半は続いたね ワンコ
今思い返してみると、
ワンコは私達の家族の真ん中で家長として君臨していたけれど、
犬としての矜持はきちんと保っていたね ワンコ
犬だって、もちろん時代とともに生活スタイルは変わるだろうけれど、
それは人間様の勝手な都合によるもので、犬にとっては傍迷惑なこともあるんだろうなと思わせる本を読んだんだよ ワンコ
それは、「いぬきち」という題名だけど、
気が狂(ふ)れた犬の話ではなく、犬好きの吉さんが主人公という話なんだよ
でも、この吉さん、亡くなった愛犬の姿が見え会話ができることを人から気味悪がられているから、
やっぱり私と同じで、犬キチかな ワンコ
「犬吉」(諸田玲子)
貞享二年(1685)、第五代将軍・徳川綱吉が発した「生類憐れみの令」により作られた「御囲」(野良犬を収容するための施設)をめぐる本書は、犬を家族として暮らす幸せを知っている人間にとっては、複雑な感情を起こさせるものである。
元禄文化として有名な元禄8年、10万両の資金に延べ人数100万人とも云われる人員を投じて建設された中野村の御囲は、最終的には総面積27万坪にもなり、敷地内には100か所以上の井戸が掘られたという。このように広大な御囲に、お犬駕籠に乗って御出でなさった お犬さまのご飯は、白米三合に味噌と干鰯、犬小屋には綿のつまった布団が敷きつめてあったという。
その一方で、当時 江戸は二度の大火に見舞われ餓死者もでるほどで、人々は食うや食わずの生活であっったが、それは御囲でお犬さまのお世話をしている者たちも同じで、雑穀交じりの雑炊を日に二度すすりながら、夜具は筵一枚といったものだった。
これを作者・諸田氏がどうみているかは、本文に『お犬さま狂騒劇』という文字があるだけでなく、エピグラムにマクベスを引用していることからも窺える。
『明日、また明日、また明日と、時は
小きざみな足どりで一日一日を歩み、
ついには歴史の最後の一瞬にたどりつく、
昨日という日はすべて愚かな人間が塵と化す
死への道を照らしてきた。消えろ、消えろ、
つかの間の燈火!人生は歩きまわる影法師、
憐れな役者だ。舞台の上で大げさにみえをきっても
出場が終われば消えてしまう』 (「マクベス」(シェークスピア 訳・小田島雄志) 第五幕五場より)
第五幕は、前王を殺し王位に就いたマクベスが疑心暗鬼に陥り自滅していく場面で『人生は歩きまわる影法師、
憐れな役者だ』と歌い人生の虚しさを描いて秀逸だが、これに『お犬さま狂騒劇」という言葉が当てはめられているからと云え、片足あげてチッチしながら散歩するお犬さまが影法師なのでは決してない。
かってに お犬さまを祀り上げ、御囲をつくり駕籠で運び込み、贅沢な御飯と寝床でお暮らし頂くとの決まりを作ったのも人間なら、それが憎らしいとコッソリ犬を嬲り殺すのも人間だし、お犬さまの御飯(白米)を横流し しつつ、お犬様には腐った古米を与えて弱らせ死なしていくのも人間だ。
本書には人間の身勝手さが嫌というほど書かれているが、それを救ってくれるのは、御囲でお犬さま以下の扱いを受けながら お犬様の世話をする犬吉が、心底 犬好きだと読者に伝わるからだろう。そして、そんな犬吉を理解してくれる人が現れるからだろう。
何より、犬吉の亡くなった愛犬・雷光が、どんな時も犬吉を見守っていることが伝わるからだと思っている。
ワンコ
犬吉は辛いとき、はっきりと雷光を見ることができるだけでなく、抱きしめ頬ずりさえ出来るんだよ
どんな辛いときでも、雷光を想いながら『大切なもんがあるってのは嬉しいね』と、頑張れるんだよ
だけどね、犬吉が新しい人生を自分の足で歩いていこうと決意した時、
雷光は祝福するかのように掛けては来たけれど、それ以上は犬吉に近づかないんだよ ワンコ
雷光は、「犬吉は、もう大丈夫だ」と思い姿を消していこうとするんだよ ワンコ
ワンコ ワンコも「下界の家族は大丈夫」と思ったら、完全に天上界の住犬になってしまうのかい?
それは寂しすぎるよ ワンコ
ワンコには、お空lifeも満喫してほしいけれど、下界にも足しげく通って欲しいよ ワンコ
辛い時には勿論 ワンコの助けが必要だけど、
どちらかと云うと、楽しい時こそ、ここにワンコがいて一緒に喜んでくれたらと思うんだよ ワンコ
だから、いつだって我が家で寛いでいておくれよ ワンコ