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頑張れ!こじゃんと賢い橋

2017-11-13 23:00:00 | ニュース
<人気の観光スポット、沈下橋が「沈下」高知・四万十川> 朝日新聞11/13(月) 6:27配信より一部改変のうえ引用
「最後の清流」と呼ばれる高知県の四万十川にかかる岩間沈下橋(四万十市西土佐岩間)の橋脚1本が沈下し、路面が陥没した。(9本ある橋脚のうち1本が1メートルほど川底に沈下し、その上の路面が「Vの字」に陥没)市は安全のため11日から橋を通行止めにした。
岩間沈下橋は1966年に建設され、長さ約120メートル、幅3・5メートル。ポスターやテレビでもたびたび紹介され、人気の観光スポットになっている。通行再開のめどは立っておらず、市の担当者は「先月の台風21号と22号による増水時でも橋脚は大丈夫だった。修繕にはかなりの予算が必要になり、県と国に支援を要望するしかないのではないか」と声も沈みがちだった。
岩間沈下橋
写真出展 wikipedia「沈下橋」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%88%E4%B8%8B%E6%A9%8B#/media/File:Shimanto_iwama_chinkabashi.jpg

<沈下橋が「沈下」>というニュースを知った時、昨年読んだ本を思い出した。
「星ひとつほしいとの祈り」(原田マハ)

短編集「星ひとつほしいとの祈り」の最終章「沈下橋」は、生さぬ仲の母と娘が、沈下橋をまえに語り合う物語だ。
共に再婚同士の夫婦には、夫の連れ子の娘がいた。
生さぬ仲の母と娘の間に横たわる距離を、川幅に例える描写は巧いものだったが、義理の娘が身に迫る逮捕を前に 義理の母を頼り、共に沈下橋を見る場面は、心をうつものだった。

義理の母は、心のなかで義娘に語りかける。
『この橋になればいい。』
『嵐のときには水に沈み、じっと耐える橋。空が晴れ渡れば、再び姿を現す橋に』 

本書によると’’沈下橋’’とは、増水時に川に沈んでしまうように設計されている、欄干のない橋のことをいう。
台風や大水の時には水中に沈むことが前提なので、低い位置に架橋され、流木や土砂が引っ掛からないように最初から欄干は設けていない。
そんな’’沈下橋’’を、義母は『こじゃんと賢い橋やね』『なんだか、橋が自分で水をくぐちゅうように思えるちや。嵐のときは抗わんで、わざと飲みこまれて、全部通り過ぎたらけろっと出てくるらぁて、まっこと賢いがやない?』という。

本書を読んで以来 、’’沈下橋’’ と ’’雨が降っても心はケロリ’’ は、自分への応援文句だった。

そんな沈下橋の橋脚が沈下したというニュースはショックだったが、季節外れの台風に二度までもやられたにも拘らず、人的被害を出さず、一本の橋脚の沈下にとどまったのは、この橋がまさに「こじゃんと賢い橋」だからかもしれない。

いつか、復旧した岩間沈下橋を訪れたいと思っている。
必ず浮かびあがる橋を架ける
「ワンコ星ひとつ欲しいとの祈り」より見たことがないせいか、物を知らないせいか、「星がひとつほしいとの祈り」(原田マハ)を読んで初めて’’沈下橋’’というものを知った。本書の最......