何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

ぜんぶ、山 完結編 ①

2018-11-05 12:00:00 | 自然
「ぜんぶ、山①」 「ぜんぶ、ワンコ 山 ②」 「個々の累積の個々が全部 ③」 「ココは全部、山 人生④」 「ぜんぶ、同じ花⑤」 「続 ぜんぶ、山・槍 ⑥」 「ノーベル賞受賞者に出会った山⑦」 「ぜんぶ、山⑧」

最近ではブログそのものが飛び飛びにしか書けないでいるのだが、この「今年の夏山シリーズ」の一回目が8月17日「命からがら、間一髪」であることを思うと、もやは原型をとどめない代物となってしまったので、今日明日中にも完結させたいと思っているのだが、どうなることやら。
  

急速に天候が悪化し、あっという間に霧につつまれ、吹き飛ばされそうな風まで吹いてきた。
これでは盛夏の山歩きは小雨ぐらいが歩きやすい、などと呑気なことは言ってられない。
かなりピッチをあげて登り、上高地からほぼ22キロ地点の槍ケ岳山荘に辿り着いた時には、ほんの数メートル先も見えないほどだった。
山荘前のテラスは、濃霧のなか頂上に登るか迷っている大勢の登山者で溢れていたが、この時はまだ私達はかなりの確率で登るつもりで、昼食のカレーとラーメンを注文したのだが・・・・・その時、立っていることができないほどの立ちくらみに山pが襲われた。

森林限界を超えたあたりから元気になる私とは違い、山pの健脚はいつも2300メートルを超えるとパタリととまり、頭痛などを起こすことが多い。この日も、夏山に備えて足を鍛えていたのが良かったのか快調に飛ばしていたのだが、それが却って徒となったのか、昼食を待つ列の中へたり込んでしまった。
こうなれば私の決断は早く、「岩場も濡れていることだし、今日これ以上登るのは止めて、明日の天候回復を待とう」と、山pに告げ、冷えた体を温めてくれるラーメンに舌鼓をうち、その後(私は)部屋で昼寝を楽しんでいた。

一眠りし、夕食までの一時をテラスで過していると、時折 強い風が霧を飛ばし晴れ間がのぞき槍の穂先が見えるタイミングがある。


こんなタイミングは、30分に一度数分間訪れるだけで、あっという間にまた黒い霧に包まれるのだが、その一瞬を捉えた写真が撮れた人は「インスタ映えする写真が撮れた」とハシャイでいたし、私も穂先を拝めただけでも十分だと思っていた。


だから、消灯前に読んだ「岳 みんなの山」(石塚真一)でホロリとしたことには自分でも意外だったのだが、何よりそれにより山Pが救われた気がしたことが有難かった。その言葉は次回の完結編の完結編にゆずるとして、せっかく撮った写真を記録しておきたい。

「岳 みんなの山」石塚真一)は主人公・三歩が穂高を中心に北アルプスの山岳救助で活躍する話だが、三歩自身は長野県警山岳救助隊ではなく、山岳遭難防止対策協会(遭対協)に参加しているボランティアの(民間)救助隊員だ。穂高と槍の分岐点となる横尾には、こんな標識がある。

そんな横尾には遭対協の建物があるが、そこには勿論 長野県警山岳救助隊の方々もおられ、出動がない時にはノンビリ散歩されている・・・訳ではない。

横尾は槍や穂高や蝶が岳に登る人のほとんどが大休止する所なので、休憩している登山者の様子を観察し、疲れのみえる人や、装備が不十分にみえる人には、声をかけて回われている。このような事も、大事に至るのを減らすことに繋がっていると思われる。

山岳警備や救助にあたってくださる全ての方々に感謝しつつ、完結編の完結へ つづく

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