晴れ渡る真夏日の午後、近くの小学校から歓声が聞こえた。
太鼓の音、そして流れる音楽は・・天国と地獄。
運動会だな!
昔は秋だったので、季節感に違和感があるが、
流れる音楽や歓声を聞いていると懐かしくもある。
先ほど、「天国と地獄」と書いたが、
私はこの曲のタイトルを知らなかった。
だが、便利な時代だ。
ちゃんちゃーん、ちゃちゃちゃちゃ 運動会の曲・・・
と、検索すれば、
タイトルも出てくるしYouTubeで”確認”することもできる。
「新聞記者」~疋田桂一郎とその仕事~を読み終えた。
ネットもスマホもない時代。
新聞とは何か、伝えるということはどういうことか!
常に自らに問い、現場に挑んだ。
彼の記者時代の文章を読んでいると、
私が生まれる前の記事も含め、
鮮明に映像が浮かび上がってくるようだ。
それは、同じく新聞記者だった
司馬遼太郎の小説を読んでいるときの感覚と似ている。
一つの事象に対し、膨大な資料を調査し、
さらに現場で確認し、聞き込みをし、
それらをすべて消化したものだけがもつ
文章の力を感じる。
時代は1950年代から80年代
1950年代から60年代では
伊勢湾台風や三井三池争議など、
歴史上のニュースとして”タイトル”は知っていたが、
詳細は知らないものから
初めて見聞きする記事まで、鮮やかに風景が浮かぶ。
1970年代は「天声人語」を主筆。
私の幼いころ、実家では日経と朝日を取っていた。
日経はまず見なかったが、
朝日のTVラン以外で、よく見ていたのが天声人語だった。
年と日付と記事・・・
昭和という時代にタイムスリップした感覚だ。
後半では「取材のやり方」について興味深い解説があった。
テーマをさがし>人選>インタビュー交渉>質問内容の検討
>現地取材の心構え>取材ノートの整理・・・など
当たり前かもしれないが、実に緻密だ。
さらに「文章の書き方」
( )まるかっこ、” ”ちょんちょんかっこの使い方では
実際に例題をひもとき、
効果的な使い方や逆効果となる場合など、
とてもわかりやすく解説している。
情報をどう伝えるのか、さらにはどう受け止めるのか。
新聞記者に限らず、現代人には重要なことだ。
示唆に富み、学びの多い一冊だった。