「電通」の前身である「満州国通信社」創設を主導して初代主幹となり、上海では参謀本部第8課長「梅機関」影佐禎昭大佐に協力して、「宏済善堂」なる阿片の密売組織をつくって活躍した阿片王・里見甫の自宅が、世田谷区成城683番地にあったことでした。(世田谷区住居表示課調べ:成城6丁目17‐3が住居表示。)
世田谷区図書館から借りた書籍並びに書棚にある上海関連書籍を読み、"魔都”上海における阿片と日中戦争の暗部を研究したいと思っています。
新潮文庫 佐野眞一著「阿片王 ―満州の夜と霧―」の「第八章 孤高のA級戦犯」から、「東京裁判に関係する阿片と里見甫」についての部分を抜粋します。
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いま私の手元に、IPSが里見に対して行った尋問調書とこれに付帯する関係資料の全文を翻訳したファィルがある。A4判のぺ―パー90枚あまりにびっしり書き連ねられたそのファィルは、四百字詰め原稿用紙に換算して約360枚におよぶかなり膨大なものである。ここでその全文を紹介するのは、あまりにも煩雑だし、たいして意昧のあることとも思えないので、里見の人となりがよくわかるやりとりや、これだけは絶対に欠かせないと思われる重要箇所に限定して紹介していこう。
最初に紹介したいのは、付帯資料の方にある里見の個人基本台帳である。
身長 5フィート5インチ(引用者注・168センチ)
体重 112ポンド(引用者注・50キログラム)
目 茶色
髪 黒
年齢 51|
階級、部局 文民
誕生日 1896年1月22日
住所 東京都世田谷区成城683
学歴 大卒
最も近い近親者 里見由美(妻)東京都淀橋区西落合2 9 3
扶養家族 一人(妻)
習得言語 中国語、日本語、若干の英語
宗教 仏教
逮捕年月日1946年3月1日
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