新宿区議会平成26年度第一回定例会の予算特別委員会締め括り総括質疑で、三月末で退職する部長級幹部が夫々在職中の感想を発言をしましたが、環境清掃部長 I・N氏は、次のようなことを述べられました。
「のぞきみ劇場が問題になったとき私は新宿保健所におりましたが、新宿区民が環境浄化を求めて約20万人の署名が集まったことに感動したことが一番の思い出であります。そのことによって国や都を動かし法令、条例が改正されました。本庁舎の一階にある新宿中央図書館区役所内分室が正にそれであります。」
そのことに関連して、管理人が取り組んだ「のぞきみ劇場顛末記」をアップしたいと思います。
新宿区議会会議録
昭和五十七(1982)年三月十一日(木曜日)午後二時四十二分開議
○議長(坪山正夫君) この際、区の一般事務並びに教育委員会の事務について質問の通告がありますので、順次質問を許します。
最初に三十六番長谷川順一君
〔三十六番長谷川順一君登壇、拍手〕
○三十六番(長谷川順一君)昭和五十七年第一回定例会に当たり、私は、日本共産党区議会議員団を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。
まず初めに区長の基本方針についてであります。
(略)
しかし、三月六日の区政の基本方針説明を開いた区民は、その期待を裏切られ、肩すかしを食った感じで受けとめているのではないでしょうか。
何となれば、戸塚第二小学校PTAが、西新宿の場外馬券場反対の運動以来という一万名を上回る署名を集め、のぞき見劇場の営業中止を要望しているのに、区長は「明るい地域壊境づくりの推進」として「青少年に悪影響を及ぼす情報の一掃を目指し」としか述べていません。情報の一掃ももちろん大切なことでありますが、なぜ現在社会問題となっているのぞき見劇場という施設の一掃する決意を区民の前に明らかにしないのでありますか。
(略)
次に、戸塚第二小学校に隣接して営業しているのぞき見劇場についてお伺いします。
区立戸塚第二小学校と同幼稚園からわずか十三メートルの距離にある高田馬場一の二十七の一、サンフラワービル一階にベニヤ板で仕切られた個室の小窓越しに男性客が裸の女性の演技を見るのぞき見劇場「アトリエボックス」が去る一月十四日から営業を始めました。
昨年十二月二十八日、新宿保健所は、興行場としての営業許可申請書を受理し、一月四日、五日に添付図面の差しかえなどを命じて申請書類を完備させ、一月十四日、区長は関係法令上やむを得ないものと最終決断し、営業許可をおろしたものであります。これより三日前の一月十一日、区立四谷第五小学校と同幼稚園から七十メートルしか触れてない新宿五丁目十七の六、花園ビル地下一階にあるのぞき見劇場「アートサロン・キーホール」の営業を衛生部は許可したのであります。
昨年十月、広島市に初めてのぞき見劇場なるものが出現しました。一月六日、広島市はのぞき見劇場が興行場法による輿行場の定義に該当するかどうか、厚生省環境衛生局に疑義の照会をいたしました。一月十四日、厚生省は広島市と全国地方自治体の衛生主管部長に対し、もちろん新宿区の衛生部長に対してもでありますが、のぞき見劇場は輿行場に該当する旨の回答と通知を出したのであります。広島市はもちろん、渋谷、下谷、新宿など全国ののぞき見劇場は営業すべて中止しました。その後新たにのぞき見劇場が保健所から正式に営業許可を受け、堂々と商売を始めたのは、一月十一日の「アートサロン・キーホール」が全国第一号であり、一月十四日の「アトリエボックス」が第二号なのであります。広島市も渋谷区もいまだに営業許可を出してはいないのであます。
山本区長は、二月十六日、総理大臣、厚生大臣などに対して、区行政のみではいかんともしがたい点が多くと興行場法など関係諸法令の改正を要望いたしました。トルコ風呂、旅館、パチンコ店などの許可条件にある学校などから百メートルないし二百メートルの距離制限が輿行場にはありません。だから彼らは法の盲点をついたのだ。法律の不備だ。行政の限界だ、と区長や衛生部当局は盛ん言い訳を言っておりますが、本当にそうでしょうか。確かに法の不備な点もありますが、現行法令でも相当な規制が可能なのであります。行政の限界ぎりぎりのところまで頭を使い、身体を張って新宿区は努力したのでしょうか。事実はそれとは全く逆な重大を問題点があるのに、営業許可をおろしたのであ少ます。
既存建物の中に床面積百平方メートルを超える興業場をつくる場合は、その建物の用途変更の手続を建築主事に申請しなければならないことが建築基準法で定められております。「アトリエボックス」が十二月二十八日、新宿保健所に提出された書類と添付図面によると、床面積は何と九十九・八九平米であります。わずかに〇・一一平米、新聞紙半ページ大の面積を小さくしているのであります。新宿保健所は、床面横が正確なものであったかどうか実測したのでしょうか。まず初めに区長にお尋ねいたします。
二月十三日、区議会保険衛生委員会が現地視察をした際、衛生部はなぜこのことを報告しなかったのでしょうか。もし報告されていたのならば、私はスケールを持っていき、床面積をはかったことでありましよう。
われわれ共産党区議団が派遣したのぞき見劇場調査団は、一昨日の夜現地調査の結果、次のような驚くべき信じがたい事実が判明したのであります。
「アトリエボックス」の実際の床面積は百六・二四五平方メートルあるものを、用途変更手続を逃れるペく床面積を小さくする偽装工作をやっていたのであります。舞台の上に一平米の突出部分をつくり、通路部分のピルの壁から四十五七センチベニヤ板をり出して新しい壁をつくり、五・三五五平方メートル、両方合わせて六・三五五平方メートルの床面積を減らして九十九・八九平方メートルにして、百平方メートル未満にして法の網をクリアする工作をしてあったのであります。
一方、新宿五丁目の「キーホール」は、約百六十から百七十平米の地下一階フロアのうち九十三・七三平方メートルを用途に供する床面積として二月六日四谷保健所に正式な申請をしたのであります。区建築部は昨年十二月中旬の事前協議の段階から、ここは百平米以上の床面積であるのだから用途変更の手続き申請者にとらせるように四谷保健所に通告していたのであります。しかるに、四谷保健所は二月十二日、建築違反物件であることを知っている立場にいながら営業許可をおろし、同日付で建築部に建築指導の要請書を送付するという、われわれには全く理解に苦しむ処理を行ったのであります。一月二十三日、「キーホール」はお客がふえたからと五十・〇〇平方メートルの床面積増設の変更届けを出しました。これで合計床面積は百四十三・七三平方メートルとなり、だれが見ても作為的な分割申請であり、当然用途変更が必要であったことを承知の上で四谷保健所はそれを受理してしまったのであります。きょう現在四谷保健所は建築部にその旨の通知書を送付しておりません。
山本区長はこの二件の偽装工作の事実、にせの許可申請届であったこの事実をどのように戸塚第二小学校の学校関係者を初め区民に説明をするのでしょうか。新宿区は教育環境を守ると言っていますが、どんな指導をしてきたのですか。保健所に申請が出されたら、興行場として許可せざるを得ないが、それ以前に何としても営業させないための消防機関と建築行政機関の行政指導と住民運動を背景にいまだに営業させていない広島市の姿勢と全く対称的なのが新宿区なのであります。新宿区の姿勢は昭和三十八年のヌードスタジオの行政実例などからも、また今回の厚生省回答からも、小学校の真ん前であっても許可せざるを得ないのだ、それよりも許可申請させることにょって刺激的な看板を出させないとか環境監視員がいつでも立ち入ることによって内容をチェックすることができると考えて対応した指導では、営業許可をとらせるための工作を示唆したと疑わざるを得ないのであります。
昭和四十四年の厚生省通達及び都衛生局通知によって、興行場等、これらの施設は特に消防法及び建築基準法にも適合しなければ営業許可をさし控えることとし、そのために建築行政機関と保健所との相互通知などの日常行政実務に組み込まれていたのです。「アトリエボックス」、「キーホール」の両申請者に保健所から渡された注意書にも、「許可申請は受け付けたが、建築基準法に適合しなければ営業許可は受けられず、又は施設の使用ができません。」とはっきり示されており、用途変更のこと、さらにその手続をとれば都建築安全条例の劇場としての厳しい規制があることを当人たちも先刻承知のことであります。新宿区は興行場法を改正しなくても法令、通達で決められた行政実務で正確に執行していたならば営巣許可を与えずに済んだのであります。
行政手続に重大な瑕疵があった二件の営業許可は直ちに取り消すべきであります。さもなくば施設の使用を禁止させるべきであります。区長の明快を答弁を求めます。
大宮市などではモーテル・ブームに歯どめをかけ、生活環境、教育環境を守ろうとしてこの種の建物を建てる場合には、あらかじめ市長の同意を得なければならないとした規制条例を制定して成功したのであります。
しかもモーテル規制条例の制定は世論も高めたため、国に影響を与え、昭和四十七年風俗営業等取締法が改正され、法令上からモーテルはこれらの市では規制されたのであります。
こうした先進的な経験に学び、新宿区でも環境保全条例をつくるならば、のぞき見凱場もノーパン喫茶なども規制していけると考えます。環境保全条例、または指導要綱を制定する意思がおありかどうか、区長にお尋ねいたします。
児童、生徒の教育に直接責任を持つ教育委員会は、私のいまの質問を踏まえ、いまどのようを決意と考えをお持ちなのか、お伺いたします。
(略)
以上で私の区長と教育委員会に対する質問を終わります。(拍手)
○区長(山本克忠君) 長谷川議員の御質問にお答えをいたします。
まず、冒頭ののぞき見劇場のくだりでございますけれども、それは後ほどその順序に従ってお答えをいたします。
いろいろ御意見のところは伺いました。何かその中に私に対する非常に鋭い批判もあったようでございまして、のぞき劇場そのものに対して私どもが手をこまねいてあるがままに過としておるというようを御意見もあったわけでございますけれども、私自身この間題につきましては、長谷川議員の御指摘を待つまでもなく、私自身がふんせんやる方ない、そういう気持ちでおります。特に今日の法体系でおきますと、どうもやはり法の網をくぐってあらゆる弄策を講ずるということがございまして、それがややもすると役所の方の裏をかくというようなこともございまして、その点でまことに遺憾なことだというように思います。
私自身この間題につきましての積極的な気持ちは、最初この間題が起きた際に、戸塚第二小学校の前ののぞき劇場については私は許可はすべきでない、場合によっては、相手方から合法に従って届け出たんだから、それに対する行政不服審査をなりあるいは裁判ざたということがあって、もし私が不幸にしてその法廷の中で一敗地にまみれるようなことがあっても、私は区民はそれで納得するんじゃないか、こういう意見も言ったわけでございます。
そういうことで、私としてもこの点につきましてはそれくらいの決意を持っておるわけでございますが、今日の時点ではそれが不可能でございますが、何と申しましてもこの間題やはり法律改正をやらなければならない、こういうふうに私自身意識づけをいたしております。今後それらにつきましては皆さんの御期待を裏切らないように全幅的にこの間題については取り組んでいきたい。そして新宿から青少年を害するようなこのような不良施設が絶滅されることを望みまして、もちろんこれは私自身だけではなし得ないわけでございますので、住民の協力を得ながら、国に対してあるいは東京都に対しましても積極的に取組む姿勢でございます。この点で本日のところは御了解を得ておきたいと思います。
(略)
それから例ののぞき劇場につきましては先ほどずいぶん申し上げましたので、この点につきましてはもうここで余り触れる必要がないと思いますが、先ほどちょっと御指摘がございましたように、面積の点でこれはちょっと私としても納得いかない時点でございますけれども、百平米以下の場合は建築基準法の検査済みの証は必要としない、それが後から動いておったということについては、これについては……(「初めからだよ」と呼ぶ者あり)いや、これは初めからそういうことはございませんで、結局先ほど私が冒頭に申し上げたように法の網をくぐるような方法でやってくるということ、したがって私は先ほども話をいたしておりますすけれども、確認をしたものとでき上がってきたものが違っておるということはわれわれの落ち度になるわけですから、そういう意味では厳しくそれを追及する必要がある。したがってちゃんとした是正が行われるまではその建物の使用を禁止するくらいのことはやらをきゃならぬというふうに思っております。それにいたしましても結局法律の改正ということをやらなければこの間題の抜本的な解決はあり得ない、こういうふうに考えております。
(発言する者あり。)静かに聞きなさい。
○議長へ坪山正夫君) 静粛に願います。
(略)
あちらこちら飛びましてあるいは長谷川議員の御質疑に十分か答えできたかどうかわか力ませんけれども一応御質疑に対してはお答えしたつもりでございます。
○教育長佐藤繁信君) 私からお答え申し上げますのは、最初にのぞき見劇場の禁止についての教育委員会の決意ということでお尋ねがございました。
本年の一月に戸塚第一小学校あるいは幼稚園の非常に近いところにのぞき見劇場ができたことは御案内のとおりでございますが、この種の興行場が学校など教育施設の至近接地に設けられることは教育環境を著しく害するかそれがあり、私としては非常に憂うるところでございす。まことに遺憾でございます。教育委員会としましてはこの間題に真剣に取少組み・区長の方からもお答えがございましたが、好ましくない環境によって児童生徒の純真な心がむしばまれ、心身の順調な成長、発達が阻害されることのないように細心の努力をすると同時に、明るく正常を教育擾境づく少に向けてこれからも警察署など関係機関に強力K働きをかけて真剣に取少組んでまいります。
(略)
以上で私からの答弁を終わらせていただきます。
〇三十六番へ長谷川順一君) 自席から発言をさせていただきます。
大いに区長と立場が違うということが明らかになりました。その辺の違い、それから何がにせものか何が本物をのかということもあしたから始まる予算特別委員会で大いに議論をしていきたいと思っております。
ただ残念ながら、残念なのは、これだけ一万人の署名が集まって社会問題になっている戸塚第二小学校の前ののぞき見劇場なんですが、区長が行政不服審査をされてまで、もし裁判で負けてもいいんたというそういう決意が本当にあったならば、現場、いわゆる衛生部や建築部が本当にそういう立場でこの間題を処理してきたのかどうかということなんです。そして私が幾つか具体的なことでお尋ねしたわけですから、それに数字の上でも明確にお答えをいただけるんじゃないかというふうに思っていたわけなんですが、「アトリエ・ボックス」はもう結局九十九・八九平米の図面どうりで気がつかをかったんだというような言い方をされておりますし、それから「キーホール」の方もこれが適法なんだというようなそういう言い方なんですよね。ところが「キーホール」の方も九十三・七三平米ということなんですが、これは四谷保健所しか現認していなくて、建築部は現認してないんですよ。ですけれども、それに階段部分、専用の階段部分がこの九十三・七三平米の中に入ってないので、専用部分を入れるということはこれは建築行政で当然のことなんで、いわゆる普通の平常の階段を入れれば百平米超すのは当然もうあたりまえの話なんです。これ建築部が確認しておればこういうととは事前にチェックできたと思うんです。そちらも図面があるわけですから、こういこともあしたからの予算特別委員会で十分そちらの調査した結果、見解をお聞かせいただきたいといういふうに思います。
このことについてきよう答弁をいただけなかったということについては非常に残念に思うわけですが、時間の都合上私はこの意見だけ申し上げて私の質問を終わります。(拍手)