福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

初日の感動には及ばず ハイティンク&ロンドン響

2015-10-05 21:59:29 | コンサート



ハイティンク&ロンドン響 来日ツアー最終公演を聴いた。会場は東京文化会館。モーツァルト、マーラーともに初日が余りに素晴らしかったため急遽聴くことにしたのだが、初日の感動には遠く及ばない結果となった。

演目の違い、会場の違い、演奏者たちのコンディションの違い、様々な要因が重なったのだと思われるが、一番の原因は燃えたたない弦楽器群である。ペライアとのベートーヴェン: 第4協奏曲から、なかなか火がつかない。第1楽章など常にベールに覆われているようなもどかしい響き。第2楽章の厚みのあるユニゾンで「おっ、スイッチが入ったか?」と期待させるも、フィナーレは肩透かし。
因みに、ペライアも音にいつもの結晶度が不足していたり、ミスタッチが多かったりと、絶好調とは呼べなかったように思われる。

さて、ブラームス。
「弦のプルトも増えたことだし、宜しく頼みますよ」
と祈りつつ臨んだか、やはり音が迫ってこない。ハイティンクのオーソドックスな解釈、誠実なアプローチに共感を抱きつつも、魂を震わしてくれるところまでには至らないのだ。

ここがNHKホールなら会場のせいとも言えようが、かれこれ40年以上も通う東京文化会館である。しかも、上手寄りとはいえ中央通路から2列目というから悪い席ではない。それでも、音が来ないというのは、やはりコンマスを始めとする弦楽セクションに問題があるのだと思われてならない。

一方、管楽器は素晴らしかった(第2楽章で、3番トロンボーン奏者が脚を組み、腕組みして寝ていたのは感心しないが・・)。
特にフィナーレ導入部の朗々たるホルンとそれに続くフルートの清冽さ! さらには居眠りを挽回する(笑)トロンボーンのコラールの深々とした響きなど。

弦もようやくコーダにきて鳴らしてきたが、「おいおい、それができるなら、もっと早くしてよ」と言いたくもなる。まあ、長いツアーで疲れているのは分かるけど・・。

結局、ブラームスのオーケストレーションが弦楽器主体であることが災いしていたように思われてならない。今宵、もっとも感動したのが、管楽器、打楽器、ピアノ、ハープという編成のパーセル(スタッキー編)「メアリー女王のための葬送音楽」だったことが、その証左ともなろうか。あの溶けるような金管のアンサンブルを聴いて、どれほどベートーヴェンやブラームスに期待したことだろう!

【プログラムA】
パーセル(スタッキー編): メアリー女王のための葬送音楽
ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58 (ピアノ: マレイ・ペライア)
    ***
ブラームス: 交響曲第1番 ハ短調 op.68

 


前代未聞 LP3枚組のブルックナー8??

2015-10-05 10:32:32 | コーラス、オーケストラ

レコード制作会社さんから、早速のお返事があった。有り難い。

やはり、ダイレクトカッティング方式での片面30分超は不可能で、音質的には20分以内が好ましいとのこと。

ということは、もしこの方式で製作するなら、第3楽章、第4楽章を2面ずつに分けることになる。

Audior盤チェリビダッケのリスボン・ライヴでは、後半の2つの楽章に3面を費やすという離れ業をみせていたが、製盤方式が異なるとはいえ、ブルックナー8番全曲に6面を費やすというのは、それを超えることになる。

確かに、ひとつの楽章の半ばで盤を裏返すのは面倒だ。しかし、シューリヒトの「7番」コンサートホール盤でも、全曲を1枚に収めるため第2楽章をA、B面に分けていたことを思えば、それも有りだろう。しかも、1面当たりの収録時間が短くなるため音質的にも有利に違いない。

最近では、45回転復刻盤で、楽章途中に席を立つことになれてきてはいるし(笑)、ここはひとつ、試作品を作ってみようかな?

また、某かの進展があったら、ご報告したい。

 


ブルックナー8番 夢のレコード化?

2015-10-05 01:24:53 | レコード、オーディオ

Facebookを眺めていたら、友の1人が「レコードが1枚から作れる」というページをリンクしてくれていた。

早速HPを訪ねると、プレスによらず、ダイレクトカッティング方式で1枚1枚作るのだという。

「バンドマンのための」とあるように、クラシックの顧客は想定していないようだが、試してみる価値はありそうだ。

そう、あのCD化もされた愛知祝祭管とのブルックナー「8番」ライヴ音源のレコード化である。

ということで、ご担当者にあれこれ質問事項をメールに書いているうちに夜も更けてしまった。

「後半2つの楽章が各々30分を超えているが、ダイレクトカッティングという方式で適応できるのか?」

「ポピュラーに較べ、格段に大きなダイナミックレンジの幅に対応できるのか?」

などなど、心配があるのだ。

ただ、たとえ実現したとしても、商品化は難しい。

というのも、ディスク2枚の原価だけで、10,800円(税抜き)かかってしまう。

これに、ジャケットやら、レーベルなどの印刷費、代理店へのマージンなどを加算したらとんでもない金額になることは間違いない。

また、完成品の音質がそれに見合うものかどうかも未知数だ。

あくまでも、自分や身内だけで楽しむレコードとなってしまいそうである。