明鏡   

鏡のごとく

寂しいということ~うしなわれたものへの歌~

2009-10-17 18:30:32 | 
淋しいということは
竹林に降る雨の音からきていると
ろっくはりうっとで 詩人に教えてもらった日
もうひとつの寂しいということを思った

雨が降った後
はれたゆうぐれのなかを自転車で帰りながら
寂しいは どこか さうだあじの響きと重なる気がして
あるはずのない坂道を上るようにペソアの詩を思い出そうとしていた

川の横 車が通り過ぎるのを待つ間
韓国のバッチをつけた若い水兵さんの団体に
ここはどこですか 
とたずねられた

ここは中州川端です とこたえた
そうして
天神に行く道をきかれたので
まっすぐです とこたえた

こんなところに水兵さん
と思いつつ
そういえばここは港も近い事を思い出す
今では船で二時間もあれば国と国を渡れるという

それから 
自転車を走らせながら
ペソアの他の名前も思い出そうとしたが
思い出せなかった

昔行った事のあるポルトガルで
坂道をパンを盗んで走って逃げた
半ズボンの少年の背中と
なんとはなく振り返って見てしまった海を思い出していた

家に帰りつくと
イムジン河の歌を歌っていた人が
首を吊ってなくなった という事を知った 
見えない歌が目の前を通り抜けた気がした 

 あのパンを盗んだ半ズボンの少年のように

ろっくはりうっとで詩人が翻訳していた
はんにゃしんきょうをおもいだそうとしたが
おもいだそうにも
おもいだせないでいた