政府は10日、北朝鮮が午前5時22分と27分の2回、北朝鮮西岸の南浦(ナムポ)付近から東北東方向の日本海上に短距離弾道ミサイルを発射したと発表した。安倍晋三首相は同日昼に首相官邸で開いた政府・与党連絡会議で「さらなる挑発行動は断じて容認できない」と非難した。政府は北朝鮮が今後もミサイル発射を続ける可能性があるとみて警戒を強めている。
首相はミサイル発射が続く懸念を踏まえ「引き続き緊張感を持って国民の安全安心の確保に万全を期す」と強調。ワシントンで31日から開かれる核安全保障サミットへの出席も表明し、米韓両国と連携して対応する意向を示した。
また、これに先立つ国家安全保障会議(NSC)の4閣僚会合で、情報収集・分析と警戒監視に万全を期すよう指示した。政府は北京の外交ルートを通じて北朝鮮に抗議した。
防衛省は、ミサイルの飛距離はいずれも約500キロと分析。河野克俊統合幕僚長は記者会見で「距離から見ると(短距離弾道ミサイルの)『スカッドC』に近い」と語った。7日に始まった米韓合同軍事演習へのけん制との見方を強めており、中谷元(げん)防衛相は記者団に「さらなる挑発行動の可能性は否定できない」と述べ、警戒監視を強める考えを示した。
北朝鮮は近年、米韓演習に合わせて弾道ミサイル発射を繰り返しており、昨年3月にもスカッド2発を日本海に発射。14年には3~7月に計11発発射した。【村尾哲】