今週のジャンプ表紙にいた創真が遠月学園の制服姿でワッホーイとテンションが上がったのはここだけの話。(受験生の皆さん頑張ってください)
週刊少年ジャンプ2016年5・6合併号掲載
掲載順第11位
第149話 【天国と地獄】
創真の勝利によって守られた極星寮。
それを祝って、寮内では祝勝会が開かれていました。
並ぶ御馳走。
・・・・・・・・・・実はここのコマ、ちょっとばかし印象に残ったんですよね。
その理由は後半で。
と、そこに押しかけてきたのはアルディーニ兄弟。
創真の食戟の様子をテレビで見て駆け付けた模様。
いつものようにタクミは創真をガミガミ説教するのかと思いきや、珍しく何も叱りません。
自分も同じ立場だったならそうしていた。
タクミは創真の行動に共感してくれていたのでした。
・・・ありがとう、タクミ。(^^)
私がタクミを推す理由はこういう所なんですよねー。
なんだかんだで、肝心な時はちゃんと創真を理解して共感してくれるところが。
少なくとも私から見れば、タクミは創真の最良のライバルにして、もはや親友ですね。
そうしてアルディーニ兄弟も一緒に宴を楽しむことに。
創真が十傑第九席である叡山に完勝した事に沸く極星陣。
「ってことは薙切ちゃんにも勝てるかも?」と冗談交じりで言う青木。
その発言に猛反発するえりな。
「薙切ちゃん」という言い方も馴れ馴れしいと怒ります。
いや、「えりなっち」呼びの方が威厳がないと思うんですけど。
お嬢様の基準はわからん。(ま、ただ単に男子から親しく呼ばれることに抵抗があるだけなんだろうけど)
ですが、創真自身は今回の食戟にやはり納得はしていませんでした。
お題を提案したのは自分からだったし、叡山は即席でメニューを考案したにも関わらずあれほどの絶品を作り上げただけに、まだ底知れ無かったと。
今度こそ対等な条件で勝負を、と望む創真。
本当に創真は超負けず嫌いな反面、決して“勝利”に甘んじない子ですよね。
そんなところが果て無き向上心にも繋がっているわけですけど。
そんな創真にタクミはまたも同意。
うんうん。(^‐^)
不完全燃焼感もでしたが、創真はもう一つ心残りがありました。
それは、今回極星寮は守ることが出来たものの、他の研究会やゼミの存続は一体どうなるのかという事。
それに答えたのは、いつの間に戻ってきたのやらな一色先輩。
案の定、極星陣は寮のピンチにいなかった一色先輩を問い詰めます。
謝り、理由を説明する一色先輩。
十傑である自分が極星寮の存続に手を貸してしまったら、薊政権による圧力がより一層強まる理由を作ってしまうことになると考えたためでした。
確かにね。
どんな事情があろうとも、権力のある者が私情で一個人もしくは一組織に協力することは、「依怙贔屓」と周囲から取られてかえって形勢不利になってしまうことは社会においてよくあることです。
城一郎や堂島先輩が直接今回の薊政権の支配に関わってこないのも、そういう理由からなのでしょう。
まあ、吉野達からは「裏切ったのかと思った」と、読者の代弁とも言える疑惑を掛けられていましたが(苦笑)。
確かに良い人で凄い人なんですけど、いま一つ信頼に欠ける人ですからね~一色先輩って。この芝居がかった言動のお陰で。
まあ、本人がわざとそうしている節があるのですけども。
一色先輩によると、今回創真が叡山に勝利したことによって、叡山が先頭に立って進められていた八百長策は完全に打ち砕かれることになった模様。
その結果、薊政権は今後研究会やゼミの解体撤回を懸けた食戟を全て受けるという声明を発表。勿論中立な審査員による公正な審議の上で。
薊政権による学園の支配は依然として変わらず、食戟に負けた場合は相応の処分が下される覚悟を決めなくてはならないものの・・・
『食戟』は再び生き返ることになったのでした。
やったね!!(Σd(>▽<))
一色先輩に心からの感謝を述べられ、照れる創真。
創真が人から感謝されて、こう素直に照れる姿は珍しいですね。
カメラどこだっけ?(←)
そんな一色先輩の姿に、ようやく疑いを解く伊武崎。
一色先輩への疑惑を晴らす役を伊武崎にしたのは適任だったと思います。
伊武崎は鋭い子ですし、一色先輩と確執があるだけに逆に説得力がありますから。
一色先輩も叡山の手下達から極星寮を守った伊武崎達を労います。
当然と言う伊武崎。
創真一人だけ闘わせるわけにはいかなかったから。
うんうん。(^‐^)
ほんと、伊武崎も良い奴だよねー。
そんな伊武崎の言葉に、えりなは思う所がありました。
そうして、改めて一色も交えて乾杯する一同。
というわけで。
遂に一色先輩全開モード解禁☆
そうして。
お嬢様は初めて「俗世」というものを知ることとなるのでした。(苦笑)
そんな一色先輩と平然とどんちゃん騒ぎを繰り広げる一同に憤慨する新戸。
隣に座っていたえりなは、「やっぱり不思議」と呟きます。
ですが、それは一色先輩の服装などにではなく、極星寮という世界、そしてそこに住まう人々にでした。
ここで第142話の扉絵の件を再起用してきましたか。
お嬢様お坊ちゃま揃いの遠月学園ですが、えりなの世間知らずさは筋金入りですからね。
洗濯機にカルチャーショックだなんて(苦笑)。
っていうか、えりなってメカ関係に滅茶苦茶弱そうだよね。
スマホはおろか電卓さえも使えなさそう。(いやそれは)
自らが身を置いたことで、えりなは初めて知ったわけです。
この極星寮には、自分がこれまで知らなかったことが沢山あるということに。
そして。
そんな不思議な極星陣の中心にいるのが、創真だという事に。
洗濯機へのカルチャーショックというちょっとした小ネタから、これまでの自分の無知さ、そして知らなかった世界へとえりなの視点を繋げていったのは上手いですね。
そして、「知らなかった世界」の中心にいるのが創真という事に気付かせる構成も。
審査員の買収という、負けが確定した勝負に挑んだ創真。
そんな創真が帰るまで、極星寮を守って闘うことを選んだ極星陣。
それは権力や合理的理屈で物事を決定してきたえりなには理解できないものでした。
ですが、そんな中でも極星陣の表情には、創真なら奇跡を起こしてくれるかもしれないという思いが窺えたという。
そしてそれは、新戸にも。
それは何故?とえりなは新戸に問います。
少しばかり言いよどんだ後、答える新戸。
根拠のようなものは何もない、けど
もしかしたら、今の薊からの支配から遠月学園を救うのは創真かもしれない。
それは信頼であり期待であり希望。
新戸のその言葉に、えりなは改めて考えるのでした。
そうして夜も更けた頃、突然呼び鈴が鳴ります。
応対に、創真が玄関へ。
扉を開けると、そこには―――
ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。
いつぞや、玄関扉の前に待ち構えていた一色先輩を「ホラー」と言ったワタシ。(by第121話)
御免なさい私が間違ってました。
今回のラストこそが真の「ホラー」です。
佐伯先生頑張りすぎです。
全世界の子供達にトラウマ植えつけるつもりですか。
一難去ってまた一難。
えりなの居場所は既に薊側に掴まれていたわけですし、薊が直々に極星寮を訪れる可能性も予想してはいました。
ですがそれでもいざ目の当たりにすると相当な緊張感がありますね。
でも薊来訪について語る前に、今回の感想の前半部分で語れなかった点についてちょこちょこと。
薊より先に突撃訪問してきたアルディーニ兄弟(笑)。
ですが。
そんなアルディーニ兄弟(っていうかタクミ)と、毎回ほぼ一緒に創真の元に駆け付ける子が今回は現れませんでした。
そう、それは郁魅。
いつもなら、創真が無茶な事をやらかすたびに叱るべく駆けつけるというのに・・・。
彼女の身に何かあったのでしょうか?
丼研の存続に関わる事なら、今回創真が一応打開してくれたわけですが・・・。
ここはメタ的に見て、えりなが極星寮に居候している今、えりなに切り捨てられた過去を持つ郁魅が同じ場所に居合わせては気まずくなるという作者の配慮でしょうかね?
月饗祭でえりなと郁魅は対面していますが、今は色々と深刻な状況ですから。
葉山と同様にここ最近出番が無いこともあって、今どうなっているのか少し心配・・・。
ん?葉山?
あ・・・☆
これは単なる勘なのですが、一応。
もしも。もしもですよ?
セントラル(薊政権)に加入した葉山と丼研存続を賭けて食戟することになった、とかいう展開が来たら俄然盛り上がりそうだな~と思っちゃったり☆
月饗祭編で葉山はアリスと縁が新たに繋がった事ですし、ここで郁魅と縁が出来てもまた面白くなりそうなので。
まあ、それは郷土料理研究会に入っている恵や宮里ゼミに所属している丸井にも同じことが言えますが。
郁魅の現在が気になる一方、創真に賛同してくれたタクミには超笑顔に。(^^)
冒頭での姿もさることながら今回は創真と意気投合している様子が特によく見られ、とても嬉しかったです。
そんなタクミ(アルディーニ兄弟)ですが、住居が学園外にあり、研究会にもゼミにも属していない彼らは一番薊政権による直接的な影響を受けない立場にいます。
そんな彼らですが、既にこれまでの交流の中で創真達と堅い絆が結ばれているのも事実。
一色先輩が整えてくれている「これからの真の闘い」に向け、創真らと一緒に薊政権に立ち向かってくれるに間違いないでしょう。
元々彼らに対する思い入れはありましたが、小説版を読んだこともあって、更に彼らのこれからの行動に期待が高まっています。
そして・・・。
そんなタクミや伊武崎による創真への思いを知り、えりなは改めて考えさせられるわけです。
自分が知らなかった世界、考えもしなかった姿勢。
その中心に存在している創真に対して。
既に第147話にて描かれていた思案を、ここでもう一度振り返らせてきましたか。
あの時は料理に対する「正しい答え」の導き出し方に焦点が当たっていましたが、今回はもう一つの側面に。
これまで何につけても創真を一方的に否定してきたえりな。
入学時や秋の選抜等、これまでの過程の中で創真がいくらその実力を証明しようが「手違い」だの「まぐれ」だのと言って、頑なに創真の実力と共に彼の存在自体をも認めようとはしてきませんでした。
創真が無茶な事に挑む時も、いつも呆れたり嘲け笑うばかりでしたし。(あー思い出すと腹立ってくる)
その理由は勿論自分のプライドに障るからとか、自分の信念に相反するからとかいう様々な理由によるものでしょうが、その中の一つとして周囲も創真を否定していたというのもあったと思うんですよ。
始業式の際に超不敵な発言をかまし、学園の生徒のほとんどを敵に回した創真。
そしてえりなにとって最も身近な人物である新戸も創真に対して(盲目的に)反発していたからこそ、えりなはこれまで安心して創真を否定出来ていたわけです。
だけど。
秋の選抜の終わり頃あたりから、創真には多くの仲間達がいることを知り。創真に反感を抱いていた学生達もそのほとんどが創真の凄さを認めるようになっていき。
そして、スタジエール後は新戸さえも創真を信頼するようになっていた。これまでえりなだけにしか向けてこなかった明るい笑顔を向けるほどに。
スタジエール後から明白に変わった新戸の創真への態度がずっと気になっていたえりな。
なかなか聞けずにいた疑問を、今回このような形で聞いたことによって同時に創真の存在を改めて見直すことになったわけです。
理屈でも、権力でもない。
創真の姿勢が、存在そのものが
人々の「希望の光」になっていることに。
えりなは表紙などのカラーイラストで創真と度々ツーショットで描かれてきたものの、その表情は全て仏頂面でした。
ですがここでようやく、反発も見下しもない素直な眼差しで創真を見直すことになったわけです。
でも。
やはり創真を正面から真っ直ぐに見据えることはまだ出来ませんでしたね。
それも致し方ない事でしょう・・・・・今は、ね。
創真と正面から向き合うこと、ひいては彼を肯定することは、これまでの自分のほぼ全てを否定してしまうことになってしまいますから。
これまで何ら迷うことなく信じ続けてきた「自分の正しさ」。そして「創真への否定」。
それが変わりつつあることを、えりなは少しずつですが感じ始めているのかもしれません。
【天国と地獄】というサブタイトルが付けられていた今回。
このタイトルは、深読みすると中々興味深いものに感じ取れました。
「天国」。これは少し言い換えれば「天上世界」。
それは高級、銘家、上流社会という、えりながこれまで生きてきた世界。
そして「地獄」。これも少し言い換えれば「下界」。
これは、この場合一般社会や庶民階級、俗世といった、えりなが偏見や先入観で見下してきた世界。
普通ならば当然幸せな世界は「天国」であり、「地獄」は苦しみや不幸の世界です。
でも。
そんな「地獄」には、「天国」には無かった温もりや裏表の無い笑顔、絶望に屈しない“希望”があった。
このサブタイトルは、そんなえりなの価値観の変化を示唆しているのではないでしょうか。
もっとも。
分かりやすく受け取れば、創真の勝利や朗報に沸く宴会部分を「天国」、そして問題のラスト2ページを「地獄」と取れるわけですけども。
さて、薊の来訪についてですが、結論から言わせてもらえば
創真は薊を門前払いすると思います。
いえ、創真程の大器なら薊を中に招き入れても全然おかしくはないんですがね。
実際ストーカーやインテリヤクザをももてなしちゃってますし(苦笑)。
でも、薊の場合は、創真は拒否すると思うんです。
理由は簡単。
折角の明るい食卓を翳らせるわけにはいきませんから。
つい最近発売された単行本第16巻にも収録されている第133話にて、えりなの店に無理矢理侵入してきた挙句に傲慢極まりない発言で食事を楽しんでいた客人達の気を大いに悪くした薊。
あの時のあんな険悪な空気を、極星寮の仲間達に味わってほしくないんですよ。
私でさえこう思うのですから、創真は尚の事だと思います。
あの時創真は平然と周囲に愛想を振りまいていましたが、きっと険悪な雰囲気を察知していたと思います。(それでも決して呑まれないのが凄いところ)
そして、その原因が薊だという事も。
御馳走が並んでいる冒頭のコマが印象に残ったという、前半で述べた感想もこれが理由です。
応対としては普通に接するでしょうが、薊が極星寮の中に入るのは拒むのではないでしょうか。
そして薊の来訪理由ですが、これは当然えりなを迎えに来たのでしょう。
えりなの品格が翳むと言い、普通に裕福層の人物達でさえ見下した薊。
そんな自分の「最高傑作」が庶民の住居施設に、しかも自分に反意を持つ団体の中に身を置いているというのは心外なのでしょうね、やはり。
ですが・・・。
もし創真からえりなの引き渡しを断られたとしても、薊は特に無理強いはせずに身を引くと思います。
何故なら。
えりなが自ら自分の元に戻ることを確信しているでしょうから。
えりなへの「洗脳」が発覚し、仙左衛門が薊を追放してから約十年。
それまで城一郎を始めとした多くの者達の協力のお陰でえりなは本来の自分をだいぶ取り戻すことが出来ましたが、それほどの年月をかけても、それほどの協力があっても尚、えりなは薊という「鳥籠」に囚われたままなんですよね。
それを知っている薊。
何故なら、自分がえりなに施した「教育(洗脳)」はえりな自身の才能、そして出身と切っても切り離せない関係があるから。
えりなが自分の才能を発揮するほど。
周囲がそんなえりなを敬い、崇め奉るほど。
えりなが囚われている「鳥籠」はどんどん頑強になっていくという。
えりなが掛かっている「教育」という「呪い」は、それほどまでに、根深い。
そしてここが一番厄介なところなのですが
えりな自身がその「鳥籠」を強化し、そしてそこに身を置くことに安心もしてしまっているという。
実際、私もえりなは遅かれ早かれ自分から薊の元に戻るだろうと予想しています。
これまで、「高級」「完璧」といった己の理想を叶えるために、多くのものを切り捨て、排除してきたえりな。
それは自身の心だけでなく、数えきれない料理も。多くの料理人達の気持ちや人生も。
これまではずっと、その才能も立場も揺るがなかった故に、ただ真っ直ぐにその道を駆け上っていけばそれで良かったのかもしれない。
でも。
「自分の世界の外」を知り、自分がこれまで闇雲に否定し続け、侮蔑し続けたものの“尊さ”に気付き始めてしまった。
そうなってしまったら、真面目なえりなはきっと苛まれることになるでしょう。
自分自身の“罪”に。
正直、今のえりなが己の“罪”を受け止められるとは思えません。
その大きな罪悪感から自分を守るために。もしくはそれほどの罪を犯してしまった自分の「居場所」はもうそこしかないという絶望から。
えりなは薊の元へ逃げてしまうのではないのでしょうか。
叡山との食戟で、カメラを通して薊政権(セントラル)に宣戦布告した創真。
薊直々と対面した以上、彼にも正面から宣戦布告しそうでもう楽しみやら怖いやら。
仙左衛門の来訪時もそうでしたが、何だかんだで薊とのちゃんとした会話も次回が初となるわけですね。
その際に、えりなが薊の計画の「鍵」である理由も明かされたりするのでしょうか?
彼らの応酬が果たしてどんなものになるのか。戦々恐々です。