-Episode_2/沢渡克真の場合-
偶然必然…そんなことはどうでもいい。ま
た僕の目線の先に彼女が現れる。追いかけて
しまうという悪癖が…。しかし途中でそんな
自分を押し留めようとした。けれど、それが
できなくなっていた。
見知らぬ男が僕の横をすり抜けて彼女の背
後に迫ろうとしている。それを感じたのか。
彼女はふいに立ち止まった。慌てたのは男で
ある。
それからの行動は言うまでもない。僕はそ
の男の腕を掴んでその場を立ち去った。彼女
が振り向いたとしても何も起こりはしない。
しばらくして男が掴んだ腕を振りほどく。
男二人がまともに顔を突き合わせる。あまり
好ましくない瞬間ではある。それでもどうに
かしないとこの場から逃れることはできない。
僕は空を仰ぐ。気持ちの好い空色が目に飛
び込んでくる。そんな僕を男はずっと見てい
たようだ。
男に目線を合わせると立ち去って行った。
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