猫もベランダから落ちる(ネコバリアフリー失敗編)

 風の爽やかな季節には、実家の猫たちはよく二階のベランダに出ているが、「猫もベランダから落ちる」とでも言おうか、今までに、デビンちゃんとちゃぷりが二階のベランダから落っこちた。
 なぜか猫たちは、わざわざベランダの柵の外側を歩く。デビンちゃんも柵の外側にいるときにネロに飛び掛られてバランスを失い、落ちてしまった。それを見ていた私の母が、あわてて落ちた先の庭へ降りていくと、デビンちゃんは軽いショック状態のようで、しばらく呆然としていたらしい。子猫の頃栄養失調であったデビンちゃんは、骨組みがとても華奢であるので、どこか折れてはいないか心配したけれど、やはりさすがは猫、驚きはしたものの、うまく着地したようで、どこにも怪我はなかった。
 ちゃぷりの場合は、厳密に言うと二階からではなく、一階の屋根から落ちたので、デビンちゃんの場合よりはだいぶ低い。このときも、ちゃぷりが屋根の端で寝ていたところにネロがじゃれかかっていって、ちゃぷりはごろんと落ちてしまった。こういうと、ネロはかなりの悪者みたいで、実際若い頃のやんちゃぶりは手に負えないほどだったけれど、落下事件に関しては、ネロに悪気はなかったものと思う。
 ちゃぷりが屋根の端から落ちていくのが見えたので、私はびっくりして、と言っても、まあ大丈夫だろうという余裕はあったけれど、とにかく屋根の上に降りて、ちゃぷりの落ちた屋根の端から顔を出して下をのぞいてみた。案の定、ちゃぷりは平気そうな顔をして、人間で言えば、もう、しょうがないわねぇ、と体をはたくような感じで、首をひねって背中をひと舐めふた舐めすると、室内飼いで外に行けないネロを尻目に、さっさと向こうへ行ってしまった。
 ともあれ、二階のベランダから落ちるのは、やはり猫にとっても少し危なかろうと、父が柵に落下防止のネットを張った。が、そうすると、猫たちは今度はそのネットの外側を歩くようになった。よけいに危なっかしいので、しばらくしてネットは外されてしまった。
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