猫の留守番

 二泊三日の旅行のあいだ、みゆちゃんは留守番であった。実家で預かってもらうことも考えたけれど、実家のちゃめとみゆちゃんは犬猿の仲である。少々寂しくとも、住み慣れた我が家にいる方がいいであろうと思い、少し心配であるけれども、留守番をたのむことにして、二泊三日の真ん中の日に、父が様子を見に来てくれることになった。
 その二日目の日の朝、父にみゆちゃんを頼む、というメールを携帯から送ると、今から見に行って来る、という返事が来た。しばらくして家に着いた父から、お土産に持っていったイクラ味のドライフードを手のひらの上にのせてあげていたら、えさと一緒に手を噛まれた、というメールが届いた。どうやら元気にしているようである。みゆちゃんの普段の食事はたいていかつお味のフードであるから、イクラ味は珍しくて、父の手を一緒にかじってしまうほど美味だったのに違いない。
 旅行から帰り、車の音を聞きつけて玄関まで迎えに来てくれたみゆちゃんを抱きしめると、少し太ったような気がする。肉付きがますますしっかりして、触るとがっしりと横に太い。三日のあいだ、暇だから、イクラ味を食っては寝、食っては寝、していたのかもしれない。
 ともあれ、元気そうでよかったけれど、やっぱり寂しかったのだろう、尻尾をぴんと立ててつきまとうので、遊んで欲しいのかと思ってひもを取り出したら、そうではなくて、甘えたいようなのである。なでてやると、ごろごろと喉を大きく鳴らしながら、からだを強くすりつけて、床の上にごろんと横になるので、お腹をさすってやると、手首をがぶりときつく噛まれた。一人で放っておいたことを怒っているらしかった。
 そのあと、居間で家族がくつろいでいたら、みゆちゃんもそばへやってきて、さも自分も仲間なのだというように、一緒になってソファで丸くなった。そのふわふわした背中が、いじらしく、可愛らしいのであった。
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