岸和田SAの猫

 阪和道の上り線の、岸和田サービスエリアに猫がいた。
 白黒ぶちの小柄な猫で、尻尾の先が曲がっている。赤いポストの下にいて、近寄ると、にゃあと言って、ぴんと立てた尻尾を震わせた。生後一年経たないくらいだろうか、鳴いた顔に幼さが残っている。
 サービスエリアの周りは山で、人家はあまりなさそうであるから、猫が自分でここへ来たとは考えにくい。そうすると、誰かが捨てたのかもしれない。
 しばらくしてまた見ると、ポストの横の電話ボックスのうしろで、誰かがあげたらしいあんぱんを、一生懸命に食べていた。パンが好きな猫というのはあまり聞かないから、やっぱり、よほどお腹が減っているのだろう。車の中におにぎりが残っているのを思い出して、取りに行った。もう少し肉気のあるものがあればいいけれど、あいにく持ち合わせていない。鰹のおにぎりで我慢してもらうことにして、ご飯を包んでいる海苔をはがしとった。
 サービスエリアの管理者にとやかく言われると面倒なので、知らん顔してさっと置きに行ったら、猫は驚いて数歩逃げてしまった。
 そのまま、おにぎりをあんぱんの横に置いて車に戻ったら、夫が私のことを漫画みたいだと言った。なぜと聞くと、私が「kitten(子猫)」という文字と猫のシルエットが描かれたTシャツを着ているからだと答えた。


*このブログを読んでくださっている人の中で、付近に住まわれており、かつ猫を飼おうかと考えている方がおられるなら、この子猫を見に行ってみられてはどうだろうか。まだそこにいる保証はないけれど、きっと、あふれるほどの愛情を持って、あなたを迎えてくれるものと思う。
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春の一品

 スーパーの野菜売り場に、トマトやきゅうりと一緒に、小さな植木鉢に植わった山椒の木が置いてあった。可愛らしく並んだ山椒の若葉は木の芽と呼ばれて、鼻をくすぐるような春の匂いがする。衝動買いをしてしまった。
 ネットで木の芽を使ったレシピを検索して、鶏肉の木の芽ソテーという簡単な一品を作った。塩、胡椒した鶏肉をオリーブオイルで焼いて、その上に、木の芽をバターで炒めたソースをかけていただくというものであるが、木の芽の香りがふわりと漂って、美味しかった。
 この木の芽ソテーが好評であったので、山椒の若葉が食べられる春のあいだに、もっと木の芽料理を楽しもうと思っていたのだけれど、先日旅行へ出かけた際、木の芽の植木鉢のことをすっかり忘れていて、帰って見ると、小さな植木鉢は水持ちがせず、山椒の木は、一皿作っただけで、枯れてしまった。
(トラックバック練習板:テーマ「得意料理はなんですか」)


参考にしたレシピはこちらです。
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