ネコ友からの贈り物

 もう十年近く、大学時代の友人と、互いの誕生日にささやかなプレゼントを贈り合っている。猫の絵本だったり、きれいな模様の使い心地のいい布巾だったり、私の好みをよく知ってくれている彼女からのプレゼントが届くのを毎年楽しみにしているのはもちろんのこと、今年は何を贈ろうかと、彼女へのプレゼントを選ぶのもまた楽しい。
 今年は、飛騨の茶筒をくれた。飛騨の工芸品といえば、今昔物語にも登場するほどの伝統がある。桜だろうか、木の幹の美しい文様をそのまま茶筒にしたような趣で、使えば使うほど、味わい深くなりそうだ。奥飛騨の福地温泉へ旅行したときに、買ってきてくれたのだという。福地温泉は、私も何年か前に訪れたことがあって、思い出深いところであるから、よけいにうれしい。長く、手元に置いて使いたい。
 この友人は、私と同じく猫が大好きな「ネコ友」でもある。猫好き歴は私よりも長い。その猫好きな彼女が意図してか否か、茶筒を入れた小箱にかけてくれていたベージュ色のリボンが、みゆちゃんに大ウケである。もともとひも状のものが大好きなみゆちゃんだけれど、リボンのひらひらした感じが狩猟本能を刺激するらしい。リボンの端っこを持って走ってごらんと息子に言うと、リボンを引きずってだっと駆け出し、そのあとをみゆちゃんがとっとこ追いかけていく。息子も楽しい、みゆちゃんも楽しいで、私はのんびりみていればいいのである。息子が寝てしまった後も、私がリボンをひらひらさせると、みゆちゃんは目を真っ黒にして後足立ち、両手でリボンの端を捕まえようと一生懸命である。
 「持つべきものはネコ友」であるなあ、と思う。
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