めだか三代物語(3)

 一時は四十匹を数えた子めだかだったけれど、その後、毎日数匹が死んで、ふやけてしらす干のようになって、浮かんでいたり、底に沈んでいたりするようになった。弱っている魚を見つけては、隔離してみたりしたけれど、甲斐なく、白くなって死んでしまった。水槽の大きさもさほど小さいとは思われないし、光が差して水温が高くなり過ぎないように気をつけたり、思いつくことはしていたのに、なぜ死んでいくのかわからない。
 友人に、大きな甕にめだかを百匹ほども入れて飼っている人がいて、めだかに詳しいので、こちらの状況を詳しく話して聞いてみたのだけれど、その人にも、子めだかが死ぬ原因がわからず、電話口の向こうで首を傾げるばかりであった。
 原因がわからないので対策も講じられない。歯がゆく思いながらも、日々数が減っていく子めだかの群れを、ただ指をくわえて見つめるしかなかった。
 四十匹いためだかが十二匹になって、ようやく不可解な死はおさまった。四十匹のうち、だいたい六割が緋めだか、四割が黒めだかだったのだけれど、黒めだかのほうが弱いのか、黒めだかで生き残ったのは二匹だけであった。
 その十二匹が秋口には親になって、卵を産んだ。たくさん孵ったけれど、またたくさん死んで、生き残ったのは五匹だけ、その五匹も、里子に出した先で、お腹がぱんぱんに膨れて、みな死んでしまった。(つづく)
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