長雨の季節

 雨自体は嫌いではない。外出するには鬱陶しいけど、家の中で、屋根や道路や、木の葉を打つ雨の音を、静かに聞いているのはいい。特に夜の雨は好きである。雨が降ると、街に積もった埃が洗われて、きれいになるような気がする。
 しかし、週間天気予報にずらりと傘のマークが並べばうんざりする。洗濯物は乾かないし、子供を外へ遊びに連れても行けない。
 猫のみゆちゃんも、庭に出られず退屈そうだ。仕方なく、雨の窓を眺めては、寝て過ごしている。天気が悪いと、動物は眠くなるように出来ているのかもしれない。
 とはいえ、いくら悲観したところで、厚い雨雲が晴れるわけでもない。待っていれば、いつかは雨の季節も終わって、元気な夏がやってくる。もちろん、災害につながるような大雨は困るけれど、ここは一つ発想の転換をして、春の桜や、秋の紅葉のように、この静かな長雨も、めぐる季節の一つの顔だと思って、その中に趣を探してみてはどうだろうか。
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