ぞうりを履こうにも、ぞうりがなかった・・・。
そうなんです。
私のぞうり、ある日の稽古で、
えりゃぁことになってしまったんです。
舞台をご覧下さった方、
こういうシーンを覚えておられるでしょうか?
順吉が婦美の髪にかんざしを挿したところを目撃され、
怒った菅沼先生が婦美を連れていく・・・。
ストライキのきっかけとなった事件です。
菅沼(私)が怒りをぐっと抑えながら、
婦美をしたがえ、カッカッカッカと進んでいくと、
「先生!」と、延ぶが後ろから呼びかけます。
「はい」 と振り向きもせず答える菅沼。
全体が静かな緊張感に包まれていきます。
その、カッカッカッカと歩いていったとき。
だんだん左足が、
頼りなーい感じになってきたのです。
ん??
どうした?
・・・と、後ろで、
「うわー!」
「ひゃっひゃっひゃっ」という、
このシーンにあるまじき笑い声が・・・。
え?
と振り向くと・・・、
カッカッカッカと、私が、
すごい勢いで歩いてきた、その道に、
白っぽい細かいカケラが、ポロッ、ポロッ。
私の足跡のように、一直線に、ポロッ、ポロッ。
見事に線になって続いているではありませんか!
なんと私、勢いよく歩きすぎたために、
ぞうりの底が半分割れて、

そのカケラを、まき散らしていたんです。
菅沼先生が、なんか、ゴミみたいなものを落としながら、
それでも思いっきり真剣に歩いていくのを、
みんなは真後ろで見ていたワケで、
そりゃぁ笑うわ

当然、稽古は中断。
「菅沼先生、クマさんになった~~」
と大笑いしながら、
廣瀬響乃ちゃんが、すぐに掃除機を持ってきて、
みんなで手分けして、
散らかった破片を片づけてくれて・・・。
「ごめんごめん、私がやるから!」
「いやいや、もういいですから」
「いや、やらせてよ。さすがに申し訳ない」
「というか、まずそのぞうりを脱いでもらった方が・・・」
「え?」
「動くと、せっかく掃除したところに、また散らかるので・・・」
「あ~~~、重ねてゴメン


「菅沼先生、帰り道を間違えないように落としたんだ」
と誰かが言ったけど、
それって、私には笑えないネタだったりして

<つづく>


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