望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

舞台の裏のウラ話 <お客様には見えない苦労編・その14>

2019-07-14 17:21:37 | 舞台・ウラ話

 

昨日までの話と似たような話が、

昔の映画の撮影所でもあったそうです。

 

これは本で読んだエピソードなんですが、

 

大御所の二人の役者さんが、

ご飯を食べるシーンを撮ったとき。

 

1人がよそって渡し、もう1人が受け取って食べる、

という芝居があったんだそう。

 

ところが、この二人の役者さん、

大御所だけに、台詞を覚えない。

 

舞台と違って、

映画は台詞が入ってなくても何とかなりますから、

いつもカンペを上手に使っていたようで、

 

その撮影のときも、

 

食べる役の役者さんは、

自分の食べるお茶碗の底に、カンペを貼っておいた。

 

そして、もう一方の、

 

よそう役の役者さんは、

おひつのふたの裏に貼っていた。

 

つまり、食べる方は、

全部読むためにはお茶碗をカラにせにゃならぬ。

 

また、よそう方は、

おひつのふたを開けなきゃ読めない。

 

だから、お茶碗がカラになったと見るが早いか、

速攻、おひつを開けて(カンペを読んで)、

ご飯をよそってお茶碗を渡す。

 

こっちはこっちで、

やっとお茶碗をカラにして、カンペが全部現れたのに、

あっという間にご飯でふさがれる。

 

このやろーと、またあわてて食べて、

カンペを読む。

 

と、よっしゃとフタを開けて、カンペを読んで、

ご飯をよそう。

 

と、またご飯を食べて・・・、

と、すさまじい攻防戦(?)で、

不思議な迫力のあるシーンが撮れたのだとか。

 

 

そういえば、TV中心にやっていた若い頃。

時代劇でどんぶり飯をかっ込む役の役者さんが、

着物にこっそりビニール袋を忍ばせて、

カットがかかった途端に、その袋に全部吐き出してたっけ。

 

何もわからなかった私は、

「食べちゃえばいいのに」と思って見ていたのですが、

今考えたら、

いちいち呑みこんでいたら、

あの迫力は出なかったでしょう。

 

やっぱり経験が浅いと、見る目もないんですね。

 (わかってる気でいた自分が恥ずかしい)

 

 

あ~、そういえば(どんだけ思い出すんだ!)

 

消えものには、笑えない話もあったんです。

   <つづく>

 

 

 

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