昨日までの話と似たような話が、
昔の映画の撮影所でもあったそうです。
これは本で読んだエピソードなんですが、
大御所の二人の役者さんが、
ご飯を食べるシーンを撮ったとき。
1人がよそって渡し、もう1人が受け取って食べる、
という芝居があったんだそう。
ところが、この二人の役者さん、
大御所だけに、台詞を覚えない。
舞台と違って、
映画は台詞が入ってなくても何とかなりますから、
いつもカンペを上手に使っていたようで、
その撮影のときも、
食べる役の役者さんは、
自分の食べるお茶碗の底に、カンペを貼っておいた。
そして、もう一方の、
よそう役の役者さんは、
おひつのふたの裏に貼っていた。
つまり、食べる方は、
全部読むためにはお茶碗をカラにせにゃならぬ。
また、よそう方は、
おひつのふたを開けなきゃ読めない。
だから、お茶碗がカラになったと見るが早いか、
速攻、おひつを開けて(カンペを読んで)、
ご飯をよそってお茶碗を渡す。
こっちはこっちで、
やっとお茶碗をカラにして、カンペが全部現れたのに、
あっという間にご飯でふさがれる。
このやろーと、またあわてて食べて、
カンペを読む。
と、よっしゃとフタを開けて、カンペを読んで、
ご飯をよそう。
と、またご飯を食べて・・・、
と、すさまじい攻防戦(?)で、
不思議な迫力のあるシーンが撮れたのだとか。
そういえば、TV中心にやっていた若い頃。
時代劇でどんぶり飯をかっ込む役の役者さんが、
着物にこっそりビニール袋を忍ばせて、
カットがかかった途端に、その袋に全部吐き出してたっけ。
何もわからなかった私は、
「食べちゃえばいいのに」と思って見ていたのですが、
今考えたら、
いちいち呑みこんでいたら、
あの迫力は出なかったでしょう。
やっぱり経験が浅いと、見る目もないんですね。
(わかってる気でいた自分が恥ずかしい)
あ~、そういえば(どんだけ思い出すんだ!)
消えものには、笑えない話もあったんです。
<つづく>
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