望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

舞台の裏のウラ話 <小劇場のウラの声・その7>

2019-07-27 17:58:19 | 舞台・ウラ話


数年前。

そこそこ大きな劇場に出たときのことでした。
 

私、実は本番前に、

ちょっと変わった発声練習(声出し)をするんです。


とある、超有名劇団さんで使われている、

セリフを全て母音だけでしゃべる、

「母音法」というメソッドがあるのですが、

これを自分流にアレンジしたものを、

本番前の声出しに使います。


例えば「こんにちは」なら「おんいいあ」。

こんな調子で、それも一言ずつ腹筋を使って、

ばかでかい声で、歩きながら、

自分のセリフを最初から最後までしゃべっていきます。

ただ、これ、かなりうるさい上に、

何言ってるか分からないので、

すごく人に迷惑がかかるんですね。

だから、普通はみんな、舞台の上で声を出すのですが、

私は客席でやります。

前に書いたように、舞台上の声は、

マイクを通して楽屋その他、裏に筒抜けなので、

これはいくらなんでも恥ずかしい。

それに、うるさくてとんでもない迷惑になる。

 

で、また、その時の劇場が、

ゆったりと作られている、とてもいい客席だったので、

最も舞台から遠い、一番後ろの客席スペースで、

「おんいいあ」みたいなのを、やり始めました。
 

いろんな高さで、いろんな強さで、

繰り返しながら、おあおあやって、

まぁこんなもんかな、という所で楽屋に戻ると、

 

   ん?

 

みんなの笑顔が、なんか不思議?

 

「望子さん、お疲れ様です。すんごい頑張ってましたね」

「え?」

「あの、声出しの・・・」

「うっ、聞こえてたの?」

「はい。しっかりと」

「だ、だって、客席の一番奥でやってたのよ!」

「あー、そうなんですか!

 いや、舞台には見えないし、どこだろうって、みんなで話してたんです」

 

え? みんなで、私の姿を、探してた?!

 

  ってことは・・・

 

   <つづく>

 

 

 

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