3月15日に愛知学院大学は卒業式を迎えました。一部就職活動のため卒業延期する者を除いて,ゼミの4年生たちは卒業していきました。名古屋マーケティング・インカレと卒論をやり遂げ,2年半のゼミの学修を終えてくれたことにホッとしています。
なお,うちのゼミからは岸桃子さんがビジネス情報学科卒業総代(曹洞宗管長賞受賞)に選ばれました。3年連続で優秀者を輩出することができうれしく思っています。岸さんは学部優秀卒論賞も受賞しました。
卒業生には次の言葉を贈ります。
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし
たけき者もついには滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ
有名な平家物語の冒頭の一節です。名文として親しまれてきました。祇園精舎や沙羅双樹など我々にはなじみのない言葉が出てくるので,今となっては分かりにくいかもしれませんが,この一節が表現しているのは,無常です。
無常こそは日本人の死生観そのものと言っていいでしょう。卒業生にこの無常をかみしめて欲しいと思います。
栄える者もやがて滅んでしまうのならば,頑張る必要はない。無常はそんな虚無的な気持ちにつながるかもしれません。しかし,無常は虚無ではありません。
無常は不変なものはないことを意味しています。そして生あるものは必ず死ぬということも意味しています。物事は常に変化するからこそ,一瞬一瞬に力を込めよう,人は必ず死ぬからこそ,精一杯生きようという感慨につながるのです。
平家を貶める表現として平家物語冒頭の一節はよく使われます。しかし,無常の象徴とされるにふさわしく,平家の人々は実はほころびた貴族政治の改革者として平安末期の時代を堂々と生き抜きました。失敗はしましたが精一杯の輝きを見せたのです。
平家一の精鋭と評された将軍に平重衡がいます。重衡は合戦に破れ,源氏方に捕えられてしまいます。源頼朝の前に引き出されたとき,嘲笑いを受けながら,頼朝から捕われの身の気持ちを訊ねられます。重衡は,武運拙く自分たちは負けてしまったが,軍事に携わる者にとって,敵に捕われ,命を奪われることは恥じでない,さあ早く首をはねなさいと堂々と返答します。あまりの潔さと威厳に,並み居る源氏方の武士は感動して涙したといいます。信念にしたがって精一杯生き抜いたという思いが重衡を潔い態度にさせたのでしょう。
我々日本人は無常観を持つからこそ,打たれ強い国民性を示すといえます。在学中みなさんは東日本大震災の報に接しました。みなさんが子供のころには阪神大震災が起きました。被災者たちは,整然と,淡々と復興に立ち向かってきました。あの魂をみなさんも備えているはずなのです。
無常のこの世界で生き抜く覚悟を持って,卒業生のみなさんはこれから精一杯の努力を心がけてください。
なお,うちのゼミからは岸桃子さんがビジネス情報学科卒業総代(曹洞宗管長賞受賞)に選ばれました。3年連続で優秀者を輩出することができうれしく思っています。岸さんは学部優秀卒論賞も受賞しました。
卒業生には次の言葉を贈ります。
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし
たけき者もついには滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ
有名な平家物語の冒頭の一節です。名文として親しまれてきました。祇園精舎や沙羅双樹など我々にはなじみのない言葉が出てくるので,今となっては分かりにくいかもしれませんが,この一節が表現しているのは,無常です。
無常こそは日本人の死生観そのものと言っていいでしょう。卒業生にこの無常をかみしめて欲しいと思います。
栄える者もやがて滅んでしまうのならば,頑張る必要はない。無常はそんな虚無的な気持ちにつながるかもしれません。しかし,無常は虚無ではありません。
無常は不変なものはないことを意味しています。そして生あるものは必ず死ぬということも意味しています。物事は常に変化するからこそ,一瞬一瞬に力を込めよう,人は必ず死ぬからこそ,精一杯生きようという感慨につながるのです。
平家を貶める表現として平家物語冒頭の一節はよく使われます。しかし,無常の象徴とされるにふさわしく,平家の人々は実はほころびた貴族政治の改革者として平安末期の時代を堂々と生き抜きました。失敗はしましたが精一杯の輝きを見せたのです。
平家一の精鋭と評された将軍に平重衡がいます。重衡は合戦に破れ,源氏方に捕えられてしまいます。源頼朝の前に引き出されたとき,嘲笑いを受けながら,頼朝から捕われの身の気持ちを訊ねられます。重衡は,武運拙く自分たちは負けてしまったが,軍事に携わる者にとって,敵に捕われ,命を奪われることは恥じでない,さあ早く首をはねなさいと堂々と返答します。あまりの潔さと威厳に,並み居る源氏方の武士は感動して涙したといいます。信念にしたがって精一杯生き抜いたという思いが重衡を潔い態度にさせたのでしょう。
我々日本人は無常観を持つからこそ,打たれ強い国民性を示すといえます。在学中みなさんは東日本大震災の報に接しました。みなさんが子供のころには阪神大震災が起きました。被災者たちは,整然と,淡々と復興に立ち向かってきました。あの魂をみなさんも備えているはずなのです。
無常のこの世界で生き抜く覚悟を持って,卒業生のみなさんはこれから精一杯の努力を心がけてください。
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