愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

10年

2017年06月03日 | 運営
このブログの開始日は2007年4月11日。始めてから10年が経過しました。過去10年,学生の就職状況には大きな変化がありました。2007年ごろは愛知万博後の人出不足が継続していたので,就職状況は良かったのですが,その翌年リーマンショックが起き,2009年度から悪化しました。その年度冬になっても就職活動を続けていた4年生のことをよく覚えています。ところが2013年ごろから状況が好転し,ここ3年間はほとんどの4年生は夏ごろに就職活動を終えてしまうようになりました。2016年度はバブル期にも匹敵する好調さ。2017年度も同様でしょう。

就職状況が教育上どのような影響があるのか見定めることはなかなか難しい。ここ3年間は,4年生にとって,早く就職活動が収束するので,卒論に時間を注ぐことが以前よりもできるようになっています。しかし,実際に力を入れてくれるかというと,どうもそうはいかないようです。就職活動が長引いた時でも,きちんと卒論に取り組む学生がいた一方で,素早く内定が出ても卒論にとりかからない学生がいました。3年生にとっては,就職状況の良さは,就職に意識を向ける機会が多くなる一方で,自らの将来を楽観視して勉学に力を入れない傾向を生みます。


大学における教育は短期的には役に立たないものです。ゼミにおける研究発表や卒論もそうです。ただ,長期的に見れば,十分役に立つ能力を身に着けるきっかけが得られます。すなわち,自立して論理的に思考する能力を高めるきっかけです。

10年間を振り返ってみると,ゼミで行っていること,教育上配慮していることは基本的に変化していません。2007年4月のブログを見ると,図書館をきちんと利用することを学生に指示しています。その背景には,安直にネット検索で調査を済ませ文献をきちんと読まない学生の実態がありました。10年経って,その実態は変化ありません。スマートフォンの普及でむしろ悪化しているといえます。

文献をきちんと調査し,それを読み込み,批判的に検討することことは,自立して論理的に思考する能力向上には欠かせない学習です。

10年経て感じることは,社会の変化に対応しつつも,教育の基本を維持することの重要性です。4年生は6月に入って就職活動の最盛期を迎えました。早く内定がとれ,時間的に余裕が生まれることがあるのなら,それに浮かれないで,卒論にじっくりと取り組むとともに,自分の10年後の姿を思い描いて欲しいと思います。3年生はその姿勢を見て,今後の学生生活をいかに充実させるか考えて欲しいと思います。


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