なつかしい人に再会する機会があり、かって勤務していたS小時代のことを思い出しました。
S小は、全校児童37名(赴任当時)の学校で、他の学校にはない行事として『全校合宿』と『全校ピクニック』がありました。
『全校ピクニック』は、日帰りで近くの山まで出かけ、バーベキューを食べながら楽しく過ごす行事でしたが、『全校合宿』は1年から6年までの全校で自然の家などの施設に泊まり、活動する行事でした。その合宿の活動内容を決める『児童総会』で、結論が出ず何時間も話し合ったことがありました。
それは、宿泊する日の夜に予定していた『肝試し』をやるかどうかについての話し合いでした。1年生のK君から、自分は夜に外を歩くのはとても怖いので、『肝試し』をやめてほしいという提案がありました。それに対して、自分は楽しみにしているのでやってほしいという意見やK君の気持ちを考えると別な活動内容にしてもよいといった意見が出され、やるかやらないかということについて議論が続きました。その中で、K君の気持ちをもう一度聞いてみようということになり、改めてK君は涙を浮かべながら、自分がとてもこわがりで夜にトイレに行くのも一人では行けないということを話しました。
その時から、話し合いの方向が一つになっていきました。K君の気持ちを理解し、K君も楽しくなるような活動にしていこうという感じになったのです。
結論としては、『肝試し』の前に、花火大会をやり、その後に、『肝試し』にやることになりました。K君については、参加できそうだったら参加してもらい(先生と一緒に)、もし参加できなかったらその間先生と一緒に花火をしたりして待つということになりました。
実際にはどうだったかというと、ちゃんとK君もみんなと一緒に参加することができたのです。
この話し合いは、2時間の予定の総会では結論が出ず、さらに臨時の総会を開き、合計で4時間ぐらいかけて話し合ったように記憶しています。K君以外の1年生の子どもたちも含め全員が自分の意見を語り、納得する形で一つの結論を導き出すことのできた話し合い活動だったように思います。
一人はみんなと みんなは一人と 一つに心が結びついた話し合いでした。子どもたちはもちろんですが、先生方も子どもたち一人一人の考えを大切に受け止め、どの子も納得できる結論が導き出せるよう温かく見守っていたように思います。
子どもの 子どもによる 子どものための 学校
そのイメージが具体的に想い浮かぶ出来事だったように思います。
スペインには、子どもたちがつくるべンポスタ共和国があり、そこでは大統領は子どもで、子どもが大人を雇い、教師や共和国を支援する仕事に従事しています。収入は、子どもたちだけで演じるサーカスのチームをつくり、世界中で公演して得た収益金で賄っているとのことです。