あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

カーボローディング

2005-11-05 13:59:25 | マラソン、駅伝部
昨日の解離してしまったTAAの患者さんは血ガスぎりぎりだったけど、そのほかは良さそうだったので、思い切って抜管してしまった。
落ち着いているのでCCUも退室です。
よかった、よかった。
なんか昔は胸部大動脈の手術といえば一週間も二週間も寝かせて挿管していたイメージだが今は早いもんです。

ところで
マラソンを走るときのエネルギー源となるグリコーゲンを、より多く筋肉や肝臓に蓄えることを目的とした食事法をカーボローディングという。
最近は、レースの3日前からごはんやパスタなどの糖質中心の食事をとる。仕上げとなるレース当日の朝食は、餅入りうどんやおにぎりなどの穀類主体で消化のよいものに加え、グリコーゲン蓄積に効率よく働くクエン酸を含んだオレンジジュースをとるとよいらしい。
今日でマラソン一週間前となります、今はまだ高タンパク、低脂肪の食事を続けるようにしていますが、木曜日あたりからカーボローディングをするかな。
次のマラソンは12月と1月ともう見つけてはあるが、まだ申し込んではいない。
ただ、やはりなにか目標というものがないと、普段のランニングも続かないのが私の正確なので、定期的に申しもむかな。
先日、うちのボスがゴルフ始めろよというので、ちょっとやってみたくなった。
定期的にコースに出れるのなら初めてもいいかなとおもう。


今日はせっかくの土曜日、天気も良いし患者も落ち着いているし、ここのところデータ打ち込みで病院こもりっぱなしだったので、どっか行こうか、もしくは少し走ろうかと思っていたら、なんか、内科Y先生が流行性角結膜炎になってしまったらしく、病院これないから今日の当直やってくれないかと、医局長からのご依頼、断わろうと思えば断われたが、まー、ここはお互い様だと思い、思わずいいですよーなんていってしまった。
したがって、今日も病院にお泊りです、でも天気いいので、当直開始時間までちょっと、一時間ほどランニングしました、なんか、だいぶ自分のペースがつかめてきた。
来週はマラソン本番、再来週はウェットラボで東京行くし、、、今日は我慢しよう、せっかくなので、なんか学会のねたでも考えるか。




送血管で急性解離

2005-11-05 00:07:04 | 術者、勉強になった症例
今週は手術3つしかなかったけど、なんかそれなりに重たかったre-OPEが二つだったし、今日はTAA、開胸まではさせてもらった。
その後、ボスがカニュレーションしたのだが、大変なことに、なんと、送血管入れるときにAo解離した、なんか送血管入れるときも血がやけに吹き出て、しかも入れた後も周りから吹きまくっており、だんだんと大動脈の色が変わってきて、しまいには分枝のあたりも色変わってしまって、解離を疑ったがもしかしたら外膜下血腫になっているだけかもしれないという甘い期待のもととりあえず急速冷却、循環停止として開けてみたら、見事に解離。
今日は3分枝の向こう側の瘤だったのだが、みんな、普通は真性瘤のところで解離は止まるでしょ、とまたもや、甘い期待、しかし、そうは問屋がおろさない、見事に瘤を超えて解離していた。
やはり、瘤は全層が膨らむもので、解離は外膜のお話なので関係なかったのか。
とにかく、深いところで、断端形成してかつ吻合となり結構手間は増えた、とりあえず先日、CCTライブの時に帯広の先生がやっていた人工血管を内側に外側はフェルトでサンドウィッチするやり方でトライ、結節で数針固定してその糸で全周マットレスさらに連続でかがり縫いをして、それに4分枝管を縫い付けると、人工血管2本使うし、かなり硬いやり方であるが、後で血は出なかった。
その後、中枢に取り掛かるが、中枢もオリファイスの部分以外は解離してしまっていた、ARも軽くあったし、A弁吊り上げの意味の含めて同様に内側はフェルトだが断端形成して吻合、3分枝も見事に解離、、、、。
まー、もともとTAAであったので取り替える部位は一緒であったが、解離していただけにさすがのボスも吻合にはかなり気を使っていた。
もし、これがTAAでなくてCABGや弁膜症だったら、かなりめんどくさいことになっていただろう。
しかしながら、ボスは終始あわてずに落ち着いているように見えた、心の中はかなりあせってはいたのだろうが、そんな気配はちらりとも見せず、終わった後にポロリと、いやーあっせった、でもなんとか、かっこは付いたかなと一言。
非常事態ではあるが、いつなんどきでも和を乱してはいけない。
外科は人の和なり、、、。
心の中でどんなにあせっていてもおもてには出さず、淡々と手術を進めて行きたいものである、術者があせってる気配を見せると、周りも乱れてしまうだろう。

ちなみにうちのボスは3500症例ぐらいある経験のうち、送血管での解離はこれで3例目とか、、、遭遇することは意外と少ないかもしれない。
まあ、もし自分のとき、なったらとにかくフェモラール送血で20℃まで冷やして循環停止して考えるしかないかな、、ただ、基本的にはA型解離と考えて、上行置換してエントリー閉鎖すれば良いのだから、なんとかなるのだろう。
イメージは付くけど。
まあ、人のミスというのは、申し訳ないが勉強になります。ご馳走様でした。