あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

よーくわかった。

2011-09-28 06:18:29 | 術者、勉強になった症例
バルサルバ動脈瘤の破裂とVSDの方の担当をさせていただきました。
あまりお目見えするものではありませんが、準緊急に近い疾患であります。
30代に多く、1型のVSDやARの合併することもあります。
前日にボスと術式について話していたら、突然、んーなら、やってみるかと一言。
いつもながら、もうちょっと早く言ってほしいと思いましたが、途中でお取り上げにならないよう、しっかり糧にしなくてはいけません。
これまで恥ずかしながら、バルサルバの破裂も、VSDも手術に参加したことがなく、解剖学的位置関係がいまいちピンと来ず、一晩、解剖書と手術書とビデオを穴があくほど眺めてきました。
手術としてはPAを開けて穴を閉じるだけですので、それほど難しい手技ではありませんが、イメージができてないと、わけわからなくなります。
実際は解剖書や手術書通りであり、問題なく、4時間弱で無事終了、すぐに抜管できて一安心です。
もちろん雑音は消えました。
実際に自分の目で見て、はっきりとわかりました。
バルサルバの破裂、1型のVSDとともに初めての経験でしたが、一度に2つ経験させていただき、ありがたいことです。
今の私としては、CABG3-4例経験させてもらうより、ある意味では勉強になるかもしれません。
同じ症例であれば次は一人でも行けそうですが、ただ、先天性というのは術前の画像診断と違ったり、開けてみないとわからないこともあったりするので、そのつもりで臨まないといけないと思います。
今回の教訓としては
1.遮断の前にPA切開しておかないと、当然、心臓がパンパンになる。
2.PAの切開は意外とバルサルバが高めなので、思ったより高めで切開するのがよい。
3.心筋保護はAR無ければ、破裂部位をセッシでつまんでおけば入る。
4.サックと大動脈弁輪をしっかり見極めて、サックのみを切開し、弁を切り取らないよにする。
5.パッチは大きめにしないと、弁がひきつる。
6.破裂部位を閉じてしまえば、解剖学的には1型VSDとなり、修復したバルサルバをLV側に押し込んで、何もなかったかのように1型VSDのパッチ閉鎖をそのまま行えばいい。
まだまだいろいろとありますが、忘れぬうちに、、、、。