あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

4分枝再建

2011-12-02 21:18:08 | Weblog
本日はDVTを伴った腸骨動脈瘤40mmの方を担当しましたが、ありそうでないのか、あるけど外科にはあまり回ってこないのか。
DVTは単純に瘤によって直下になる静脈が圧迫されることが原因ですが、最初に診察したときは足が健常肢の2倍ぐらいになってまして、WFでしばらく経過を見ているうちに、皮下の静脈がどんどんと成長しまして下肢から陰部から腹壁まで静脈瘤のすごいこと、この時点で瘤による圧迫を解除して、はたして血流が再開するのかわかりません。完全に血栓化されているようなら、単に瘤破裂の予防にしかなりませんが、まー、それでも十分ですが。
血管自体はどこもかしこも、いわゆる陶器様でありまして、吻合しているうちに内膜がぼろぼろと崩れて剥離してきてしまいましたので、思い切って取りまくりました。内膜固定はあまりしませんでしたが、幸い今のところ閉塞はありません、でも一晩は注意ですね。
5か所吻合でしたが、痩せている方で、14cmの切開で149分で終了。
ちょうど、血管外科の演題が今日、締め切りでしたのでデータ整理していたら、かつて4分枝再建しているときは、毎回300分以上かかっているのよね、しかも血の海でやっていた記憶がある。なんでだろう、やはり余計なことやりすぎてたのと、手が止まっていることが多かったかな、今日はすべて術前のシュミレーション通りに行きましたので、止まることなく一気に行ったという感じがします。
圧迫が解除されて万が一、肺梗塞になると困りますので、いちおう入室前にカテ室によりましてIVCフィルターを入れていただきました。2週間以内なら抜去可能だそうなので、退院前に目詰まりしていないか確認が必要ですね。
術直後みたら、だいぶ足が細くなったような気がするが、気のせいかな?そんな劇的ではないか?術者の希望的観測というやつだな。
足が細くなってくれることを祈ります。