あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

CTOは

2013-03-08 08:37:58 | Weblog
先日はK大学の教授がご内密に遊びにいらして、手術の指導をしていただきました。一人では不安ですので友人のM先生もお呼びして。
本来ならば専門分野の症例をと考えておりましたが、なかなか良い症例がなく、結局、単純なAVR+CABG症例となり、せっかく来ていただいたのに申し訳ないあまりでした。
LADがCTOであり、本来ならば当然ITAを使うべきなのですが、脳梗塞のリハビリ退院直後であり、両下肢は腸骨動脈で完全閉塞という、全身動脈硬化の強い方でしたので、年齢も年齢ですし、友人Mに恐ろしい話を吹き込まれ、検討のうえSVG-LADというバイパスになりました。ITAは両側ともに足にコラテを出しており、OPCABなら問題ないのでしょうが、ポンプ症例となると足の虚血が心配で、膝下まで閉塞している方でしたので、何かあってもすぐにバイパスというわけにはいかない症例でしたので。術中は足背動脈にドップラーを貼り付けて、体外循環は拍動流にして、適宜、ドップラーで足の血流を確認しながら手術を進めました。上行は石灰化が少しありフレキシブルにて石灰化に併行になるよう斜めに遮断で対応。
CTOですのでポンプ載せてbeatingにてSVG-LADと吻合しましたが、CTOの血管は開けてみたら分厚くて、バックフロー少なめでありました。結果的にはこの時に気が付くべきでしたが、後で縫い直す羽目に。
止めて、AVRして、中枢吻合して70分、ポンプ110分で降りて、閉める前にグラフトのドップラー聞いたら、聞こえない、、、、、。
さすがにLADなので、縫い直す覚悟を決めて、吻合部の5mmほど中枢でSVGを離断してみたら、中枢の血流はOKだが、末梢からのバックフローが少なく、LAD末梢側にゾンデを入れると吹いてくるのだがすぐにでなくなり、末梢側に狭搾があることが判明、仕方なく、2cmほど末梢で再度吻合しなおして、今度はドップラー良好でことなきを得た。
術前のCAGでもコラテからうつってくるLADはそこそこしっかりしているように思えたが、狭搾の程度までは読み切れていなかった、やはりまだまだ読みが甘かったと猛反省。結局OPCABになってしまった。
心配していた足も、頭も問題なく、3時間で抜管で、今回もいろいろ学ぶことが多い一日であった。