金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【米大統領選】 1988年の思い出

2020-11-05 06:52:45 | 金融マーケット

 今から32年前のお話です。当時の私は、まだ入社4年目で、アメリカの投資顧問会社へ半年間の研修に行くことが決まったので、その直前に語学研修の目的で、1か月だけテキサス州ヒューストンにホームステイをしたことがあります。丁度この時が1988年11月の大統領選の時期と重なっていたので、アメリカ人が大統領選にどう向き合っているのかを、間近に見ることが出来ました

 この時の共和党候補は父ブッシュ。一方の民主党候補がデュカキス。選挙戦は想像以上で、TV討論会での相手方への攻撃的な発言や、CMでも相手候補のネガティブキャンペーンばかりで、「少しやり過ぎでは?」と感じましたが、現在に比べると、それでも最低限のマナーはありました。当時は、冷戦時代の末期で、あと少しでアメリカが東側陣営を押し込む寸前でしたから、選挙戦の論点は「ディカキス=リベラルか?」。とにかく、当時のアメリカ人の感覚は、リベラル=腰抜け。リベラルではロシアには勝てないという熱気が国を支配していました。結局、ドナルド・リーガン路線を引き継いだ父ブッシュが選挙に勝利しました。

 面白いのが、投票日当日の夜のアメリカ人の過ごし方。11月の第1火曜日が投票日になっているのですが、その日の夜には開票が終了して、新たな大統領が決まるその夜は、共和党員だろうが、民主党員だろうが、家族が集まって、新しい大統領を皆でお祝いする(そのためのパーティを開く)というのが、アメリカ人の伝統でした。

 これは、選挙戦で1年近く、国が分断されたような状況になるので、それをいったん元に戻す儀式でもあったようです。32年前のまだ若かりし自分が、アメリカの民主主義の奥深さに感じ入ったのをよく覚えています。

 

 さて今回の2020年の米大統領選。結果がなかなか出ない事態は、マーケットでも既に織り込み済ではありますが、郵便投票の集計が終わっても、訴訟戦術とか何やらで、いつ終了して、いつ新しい大統領が決まるのかが不透明で判りません。アイデンティティが曖昧になりがちなのがアメリカ人の特徴なのですが、それを4年に1回、皆でアイデンティティを確認し合う場が大統領選だったはず。

 アメリカ人よ、民主主義があなた方とともに有らんことを!


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