全国の緊急事態宣言が解除されてから、約3週間が経ちました。人の流れも、そこそこ戻っていますので、そろそろ感染リバウンドの兆候が見えてきて良さそうな時期になっていますが、一都三県を見る限り、その傾向が見られません。不気味なくらいの静けさであります。
もちろん、様々な指標の中には、上昇に転じる数値もあります。例えば東京都の実効再生産数は、先週末の0.6倍から0.66倍に上昇し始めました。しかし、これは、あくまでベクトルの方向に過ぎない数値であって、実効再生産数は1倍を超えなければ、感染者数の減少傾向は変わらず、全体としての落ち着きに変化はありません。
ご参考までに、海外の状況を見てみましょう。英国も、米国も、人口10万人当たりの新規感染者数は、それぞれ189人と398人で、日本の基準に照らせばステージⅣレベルと高い水準にあります。ちなみに、日本全体では、人口10万人当たりの新規感染者数は4名、東京都でも同じく4名に過ぎません。
なお、高いワクチン接種率によりコロナを封じ込めたシンガポールですら、人口10万人当たりの新規感染者数は386名であり、日本とは大きな差があります。ただし、これはシンガポール独独の理由があって、PCR検査体制が十分に整っていることから、無症状の感染者をくまなく炙り出して現わしている数字であるとのこと。ちなみに、あの韓国だって、人口10万人当たり新規感染者数は23名。日本の新規感染者数が、いかに世界でも異常値であるかがお分かり頂けるかと思います。
もし、「日本独自の対処法にょり、デルタ株を抑え切ることに成功した訳ではない」とすると、やはり、7月8月の感染爆発に、その答えを見つけるしかないと思われます。あの時、東京都では、1日あたり5000名とか6000名の新規感染者が発表されていましたが、PCR検査に対する陽性率が20%を超える状況でしたから、実態は、その10倍から50倍くらいに感染爆発が起きていた可能性があります。すなわち、1日当たり5万人から30万人の感染者が出て、無症状のままで都内を歩いていたとしたら‥。その5万人とか30万人が、そのまた翌日には100万人、300万人に拡大していたとしたら‥。あの時に、日本列島のほとんどの人間が、デルタ株に感染していたことになります。
ちなみにもし、それだけ急激にウイルスの感染が広がってしまうと、ウイルス自体が移り住んでいく「母体」の数が足りなくなるため、ウイルス自体が自らを急速に弱毒化させて、「母体」の安全を図ることになるのだそうです。人間から見ると「無症状の感染者」が一気に拡大するということ。
既に、1億2000万人の日本人は、あの時に変異デルタ株に感染し尽くして、集団免役を得たのではないか?というのが、いま巷で噂されている「デルタ株自身によるカタストロフィ説」。まぁ、最も楽観的な見方でありますが‥。
もし、それが本当ならば、日本で変異した新型デルタ株を世界中へばら撒くことで、世界のコロナ禍は一気に収束することになります。無症状のデルタ株は、気がつかないうちに人間に抗体をもたらすもの。ワクチン接種よりも、ずっと簡単で、しかも感染拡大が爆発的に速いときていますから‥。