2021年のJRA年度代表馬であるエフフォーリアの電撃引退が発表されました。引退後は、社台SSで種牡馬生活に入ります。それにしても、先週の京都記念がラストランになりましたが、最悪の事態にならなくて本当に良かったと、ワタクシは安堵しております。
このblogでは、エフフォーリアの『燃え尽き症候群』の疑いについて、再三申し述べて参りました。
そもそも、3歳春のクラシックレースは、成長期のサラブレッドをギリギリに仕上げて、その最高のパフォーマンス同士をぶつけ合って、皐月賞馬やダービー馬が生まれることになります。特に、直近は調教技術の進歩が著しく、カミソリの刃のような鋭利に尖った仕上げを施すようになったので、レース間隔を出来るだけ開けて、GⅠ競走に向かう3歳馬が増えております。ちなみに、レースの出走数が多くなると、一定の回復期間を要するため、本番では「鋭利に尖った状態」ではなく、どこかで緩みや疲労を残す状態での出走となり、当然ながら、GⅠレースを勝つことが困難となります。
エフフォーリアの3歳春は、共同通信杯で始動して、皐月賞を完勝。ダービーも横綱相撲で押し切るかに見えましたが、シャフリヤールの強襲に遭ってハナ差の2着に。しかし、天皇賞秋にて、コントレイルとグランアレグリアという2頭のスーパーホースを破って勝利、暮れの有馬記念でもクロノジェネシス以下の古馬陣を完封して、年度代表馬の座に就きました。
しかし、この3歳時のレースで、ギリギリまで仕上げた状態のレースを、皐月賞・ダービー・天皇賞秋・有馬記念と、4つも出走したため、エフフォーリアの内面では『燃え尽き症候群』が発生していたと自分は考えています。
4歳時の大阪杯、宝塚記念、有馬記念と、明らかにギリギリで踏ん張る闘争心が消えており、馬が全く変わってしまったようでありました。それでも、ラストの京都記念では、少し元気が戻ったかのように見えましたが、もう心身が持たないというような競走中止に終わってしまいました。
3歳時に激走させ過ぎると、4歳以降、輝きが失せる現象は、日本ダービー馬が古馬になってから活躍できない事象とも重なります。あのコントレイルですら、三冠獲得後に、無理をしてアーモンドアイとの決戦に挑んだことが『燃え尽き症候群』に陥って、4歳時の不振を呼んだと自分は考えています。4歳以降のデアリングタクトの不振も、同じ理由です。
エフフォーリアの教訓は、次に活かすべきです。クラシックホースを3歳時に使い過ぎると、すぐに輝きが失せてしまいます。英国の競走馬育成の金言として、『レモンは、ゆっくりと絞らなければいけない』という言葉がありますが、まさにこれを思い出すべきだと思います。
【追記】実は、あのイクイノックスにも『燃え尽き症候群』のリスクは存在します。皐月賞2着、ダービー2着のあと、天皇賞秋と有馬記念で完勝した内容は、まさに3歳時の激走そのもの。4つのレースで激走したあとのドバイ・シーマクラシックは、その影響が出るのか出ないのか、注目しております。
ちなみに、先週のドウデュースは大丈夫でした。というのも、ドウデュースの3歳時、本気で走ったのは、日本ダービーだけ。皐月賞は九分の出来で無理はしていなかったですし、凱旋門賞は最後方待機でそのまま19着。武豊騎手は、土砂降り馬場で走る気のないドウデュースを見て、無理をさせませんでした。さすがですよね。