「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」などで知られる漫画家の松本零士氏が2月13日(月)に急性心不全のため、都内の病院で亡くなったそうです。85歳の生涯でした。
松本零士氏と言えば、前述の「宇宙戦艦ヤマト」を代表とする、SF冒険漫画のイメージが強いと思いますが、ワタクシのような漫画少年からすれば、何と言っても、少年マガジンに長期連載されていた『男おいどん』が懐かしい。
九州から夢を膨らまして上京してきた主人公が、四畳半ひと間の空間で、成功を夢見て、もがき続けるという漫画で、分野としては「ペーソス・ギャグ」。他に事例がないので、ペーソス・ギャグと言えば『男おいどん』を指すようになりました。
頭がボサボサで粗末な服装、トレードマークは大量のサルマタ。下着は絶対にサルマタしか穿かず、ピッタリとしたブリーフパンツを忌み嫌っています。何をやっても上手くいかず、女性にもモテません。大好物は『ラーメン・ライス』。1970年代初めの頃なので、近所の町中華では、主人公は、確か100円玉2枚くらいで、「ラーメン+小ライス」を食べさせてもらっていました。
最終回は、夢破れた主人公が、四畳半の下宿から突然いなくなるという悲しいラストで、お世話になった下宿のおばさんや、町中華のおじさんが、いつでも帰っておいで・・と泣きながら、いなくなった主人公に呼び掛けて、フェードアウト・・となりました。
ただし、この漫画の一コマで、実は、この主人公は漫画家を志望していたことが書かれており、男おいどんが松本零士氏本人の若い頃の出来事だったことを彷彿とさせます。あるいは、その後に松本零士氏の作品『キャプテン・ハーロック』で、主人公ハーロックが「友よ・・」と呼びかける相手が、この『男おいどん』の主人公ではないか?とも言われています。
いずれにしても、男おいどんの主人公は、この四畳半の下宿を出た後に、大変な冒険をした上で成功を収めていた・・というストーリーが待っているようです。
どんなスーパーヒーローでも、若い頃は、どん臭くて、みっともない時期があって、もがき苦しむもんだ。だから、もがいて、もがいて、頑張れよ! というエールを、僕たちに送ってくれた作品だったと思っております。
松本零士さん、ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。 合掌