まずは府中の富士S。勝ったのは、ハービンジャー産駒の4歳牝馬ナミュール。中団後方待機で脚を溜めます。逃げたダノンタッチダウンの前半3ハロンのラップは34秒0とややスロー。直線に入ると、逃げ粘るダノンタッチダウンを、残り300mのところで先行馬たちが飲み込んでいきます。その直後に、外からナミュールが抜け出して先頭に立ちます。大外からレッドモンレーヴが迫ってきますが、これに1馬身1/4差をつけて完勝。良の勝ちタイムは1分31秒4。2着レッドモンレーヴから2馬身1/2差の3着には、中団から差してきたオルフェーヴル産駒ソーヴァリアント、さらに3/4馬身差の4着には、4番手から粘り切ったハーツクライ産駒イルーシヴパンサー。
勝ったナミュールは、3歳時のチューリップ賞以来の重賞2勝目。得意の東京マイルで復活勝利となりました。スローの展開から、残り800mのロングスパート合戦になり、先行馬たちが脱落する横から、鮮やかな差し切り勝ち。勝因はモレイラ騎手の見事な騎乗と、ナミュール自身の切れ味+ロングスパート力。ソングラインがいないマイル路線で主役を張れる新たなヒロインの出現であります。
2着のレッドモンレーヴも惜しいレースでした。勝ち馬との差は位置取りの分だけ。この馬もマイル路線の新たな主役候補と言って良いと思います。3着ソーヴァリアントは慣れないマイルでも地力を見せましたが、やはりこの馬は2000mの馬でしょう。4着イルーシヴパンサーは、先行馬で唯一粘り切りました。さすがの一言。
そしてGⅠ菊花賞。勝ったのは、ドゥラメンテ産駒ドゥレッツァ。スタート直後に、先頭にいたキズナ産駒リビアングラスの様子を伺いながら、先頭に立ちます。前半1000mのラップは1分0秒4、次の1000mを1分4秒1。流れるペースながら、息を入れられる展開に。直線に入ると、いったん先頭を譲ったリビアングラスを差し返して、再び先頭に立ち、スピードを加速。中団から差してきたサトノクラウン産駒タスティエーラ以下に3馬身1/2差をつけて快勝。良の勝ちタイムは3分3秒1で、ラスト1000mが58秒6でした。2着タスティエーラから1馬身1/2差の3着には、後方から追い込んできたキタサンブラック産駒ソールオリエンス、3/4馬身差の4着にはリビアングラス、ハナ差の5着にはキズナ産駒サヴォーナ。
勝ったドゥレッツァは、これで未勝利戦から5連勝でGⅠ勝利を成し遂げました。時計も優秀であり、これで世代牡馬トップに立ったと言って良いでしょう。かつてのアカネテンリュウ、メジロマックイーン、マンハッタンカフェと同様です。これからの活躍が楽しみです。それにしても、またまたドゥラメンテ産駒です。たった3世代で、3歳クラシックレースを6個も獲ってしまいました。ちなみに種牡馬ディープインパクトは、12世代で3歳クラシック24個ですので、種牡馬ドゥラメンテは、種牡馬ディープインパクトと同じペースで3歳クラシックを制覇していることになります。
2着のタスティエーラ、3着のソールオリエンスは、さすが春のクラシックホースらしく、地力を見せてくれました。4着リビアンス、5着サヴォーナも、勝ち馬と同じく夏の上り馬と言って良く、今回の菊花賞は、皐月賞馬・ダービー馬を除いては、夏の上り馬が上位を占めたことになります。
3番人気のサトノグランツは、レコードで勝利した神戸新聞杯から間隔が短く、疲れが残っていたということだと思います。この馬はレース間隔を空けないとダメなタイプだと思います。