北海道で巨大なヒグマが出没しております。
『OSO18』と名付けられた巨大ヒグマは、これまで60頭以上の牛を襲っており、足跡の大きさは18cmになるそうです。この6月には、その『OSO18』よりも大きなオスのヒグマが見つかったという情報もあって、今の北海道は、ヒグマの数が増え続けているようです。
実は本州においても、ツキノワグマの数が増え続けていると言われています。おそらく、北海道のヒグマも本州のツキノワグマも、そのエサとなる鹿の死体の数が増え続けていることが、それぞれの個体数を増やしている原因の様子。
じゃなぜ、鹿の数が増加したかというと、それは人間が、昔ほどに鹿の肉を食べなくなったから。
すなわち、戦前や昭和40年代くらいまでは、地域で出没する鹿やイノシシというのは、地元の貴重なタンパク源でありましたから、地域の猟師や林業の人が駆除した鹿やイノシシの肉は、大切に地元で費消するのが当たり前でした。それが全国各地にスーパーマーケットが進出して、日本国中の各地域でも、牛肉・豚肉などが容易く手に入るようになってから、鹿やイノシシの駆除数が減ります。その結果が、現在のヒグマ・ツキノワグマの被害に繋がったのだと思います。
ところで、少し前までは、人里に来て駆除されるクマは、母クマから離れたばかりの若いクマが多かったのです。それは、まだ自分で縄張りが持てない弱いクマですから、森の中から追い出されるように、人里に出てきてしまい、人間に撃たれるという結末でした。しかし、ここへ来て、巨大なヒグマが堂々と人里や牧場を襲うようになっており、これはもう、大きなクマですら、森の中での縄張り争うが厳しい状況になったということに加えて、牛や人間の肉の味を覚えてしまって、積極的にクマ族の縄張りの拡大を目論んでいるということもあるのだと思います。
これに対する対応は、まずは地元猟友会による駆除ですが、これも人材が不足していて、十分な対応にはなっていません。でも、ヒグマ対策の先進国、アメリカの事例を見ると『ベアドッグ』という有効策があるようで、これを真似てみたらいかがでしょうか?
ベアドッグとは、クマの匂いや気配を察知するための特別な訓練を受けた犬です。スタッフの指示に従い、大きな声で吠えたてて、クマを森の奥に追い払うことができます。
スタッフの指示に従い、大きな声で吠えて、人の居住エリア近くにいるクマを森の奥へ追い払います。クマは学習能力が高いため、追い払いを繰り返すうちに「いてはいけない場所」を理解するようになります。ベアドッグはクマに襲いかかることはせず、一定の距離を保つことが得意なので、クマも犬も傷つかずに済みます。
ちなみに、世界的にクマという動物は、まだ子熊の時に、ハイエナとかオオカミとかに集団で襲われる危険があって、そのリスク認識が何万年もの間にDNA上に刷り込まれたようなのです。したがって、犬類に追い立てられると、本能的にそこを離れる傾向があるため、このようなベアドッグが活躍できる背景になっているようです。
ベアドッグの良いところは、クマも犬も傷つかずに済むということ。クマがクマの縄張りの範囲に戻ることで、人間との諍いが避けられるのであれば、これがベストの解決法です。
北海道でも、本州でも、こうしたベアドッグの育成を急ぐべきだと思います。もともとは、人間の食習慣の変化が招いたクマ問題ですから、人間の責任において、解決いたしましょう。