出品作品紹介!!
さて、今回はこの作品。
「神聖ローマ帝国の紋章を描いた大杯(帝国鷲のフンペン)」
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”フンペン”って聞き慣れない言葉ですよね。
これは、口の広い円筒形の器の事で、ビールを飲むのに使われたそう。
この作品は、高さ29.8センチもあるので、
現代のビールジョッキと比べても、随分大きな物ですよね。
注目は、大きさだけでなく、この絵付け!
これは、神聖ローマ帝国の紋章で、王冠を戴いた双頭の鷲は皇帝を、
十字架のキリストは皇帝を庇護する神を、鷲の翼に連なる紋章は、
諸侯をはじめとした様々な階層の住民と職業を表しています。
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この紋章は、聖書からの引用に基づいているそうで、
裏側に描かれている十字架に巻き付く蛇は「救済」を意味するそう。
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このように色ガラスの顔料で図柄を描いて
器に焼き付けるエナメル彩は古代ローマからある技法ですが、
この作品が作られた1575~1600年頃、いわゆる16世紀以降
ドイツやボヘミアで盛んになったそうです。
次回も、このエナメル彩の技法を使った作品を
紹介しますので、お楽しみに
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北海道立近代美術館 2011年6月9日~7月3日 開催中
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東京都庭園美術館 2011年6月14日~9月25日
岡山県立美術館 2011年10月1日~11月6日