帯状疱疹という病気がある。これは赤みを帯びた水疱が神経分布に沿って身体の片側に出来てくる皮膚疾患でチクチクと痛むのが特徴である。神経根に潜伏していた水疱瘡ウイルスが活性化されて起きてくる病気で、時々治った後も痛みが残り難渋することがある。
当院でも年に数例経験する。皮疹を診れば一目瞭然の病気で、多くは皮疹の出る数日前からチクチクした不快感が先行する。この時点で予測出来ると早期に特効薬を投与でき、すっきり治せることが多い。もう何十例も診ているので、話を聞いた途端鑑別疾患として思い浮かび見逃すことはないのだが、先日は見逃してしまった。
高血圧で通院されている五十代の女性が、診察も終わり腰を浮かすところで、腰痛の湿布でかぶれたので塗り薬を欲しいと言われた。ここでもう一度座らせどれどれと患部をはだけさせて診ればよかったのだが、まあ湿布ならかぶれだろうと、診察するのを躊躇をしてしまい、「ああ、そお」と軟膏を出してしまった。翌日なんだかひどくなったと受診されたので、裸になって貰うと左脇腹から腰にかけて憎々しげな水疱が並んでいた。「痛くないですか」。「そおね、なんだかちくちくするわ」。「これはかぶれじゃないんです。帯状疱疹という病気です」。
いつも研修医に口を酸っぱくして、皮膚は脱がせて目で見るように、患者の言うことを鵜呑みにしないように注意しているのに、自分がドジを踏んでしまった。現実には失敗というほどではないかもしれないが、経験があるのにと大いに反省した。
しばしば指摘されることだ、即、診察や診療時間の終わり際に間違いが起こりやすい、患者の言うことを真に受けてはいけない。これらをもう一度肝に銘じなければと思った。今回は大事に至らなかったが、間違いはうっかり、思いこみ、不注意そして躊躇などの重なりで起きる。躊躇というのは微妙なのだが、腰を浮かした人をもう一度診察するのをためらってしまったのだ。情けないと言えば情けないのだが、相手が全く予期していないことを言いにくく手間も取るので大丈夫だろうと二の足を踏んだのだ。
間違いというのは仕掛けられたように符合したような積み重ねで起きる。注意しすぎることはないなあ。
当院でも年に数例経験する。皮疹を診れば一目瞭然の病気で、多くは皮疹の出る数日前からチクチクした不快感が先行する。この時点で予測出来ると早期に特効薬を投与でき、すっきり治せることが多い。もう何十例も診ているので、話を聞いた途端鑑別疾患として思い浮かび見逃すことはないのだが、先日は見逃してしまった。
高血圧で通院されている五十代の女性が、診察も終わり腰を浮かすところで、腰痛の湿布でかぶれたので塗り薬を欲しいと言われた。ここでもう一度座らせどれどれと患部をはだけさせて診ればよかったのだが、まあ湿布ならかぶれだろうと、診察するのを躊躇をしてしまい、「ああ、そお」と軟膏を出してしまった。翌日なんだかひどくなったと受診されたので、裸になって貰うと左脇腹から腰にかけて憎々しげな水疱が並んでいた。「痛くないですか」。「そおね、なんだかちくちくするわ」。「これはかぶれじゃないんです。帯状疱疹という病気です」。
いつも研修医に口を酸っぱくして、皮膚は脱がせて目で見るように、患者の言うことを鵜呑みにしないように注意しているのに、自分がドジを踏んでしまった。現実には失敗というほどではないかもしれないが、経験があるのにと大いに反省した。
しばしば指摘されることだ、即、診察や診療時間の終わり際に間違いが起こりやすい、患者の言うことを真に受けてはいけない。これらをもう一度肝に銘じなければと思った。今回は大事に至らなかったが、間違いはうっかり、思いこみ、不注意そして躊躇などの重なりで起きる。躊躇というのは微妙なのだが、腰を浮かした人をもう一度診察するのをためらってしまったのだ。情けないと言えば情けないのだが、相手が全く予期していないことを言いにくく手間も取るので大丈夫だろうと二の足を踏んだのだ。
間違いというのは仕掛けられたように符合したような積み重ねで起きる。注意しすぎることはないなあ。