毎年七、八回、学会や勉強会で東京京都大阪へ行く。昨日は内科学会の教育講演会で大阪に泊った。いつの頃からかホテルでの新聞は毎日新聞にしている。昨日の毎日の朝刊に、天皇陛下が「ヒアリングで批判をされたことがショックだった」との強い不満を漏らされていたことが明らかになった、と報じられていた。
宮内庁関係者は「陛下はやるせない気持ちになっていた。陛下のやってこられた活動を知らないのか」と話す。
ヒアリングでは、安倍晋三首相の意向を反映して対象に選ばれた平川祐弘東京大名誉教授や渡部昇一上智大名誉教授(故人)ら保守系の専門家が、「天皇家は続くことと祈ることに意味がある。それ以上を天皇の役割と考えるのはいかがなものか」などと発言。被災地訪問などの公務を縮小して負担を軽減し、宮中祭祀(さいし)だけを続ければ退位する必要はないとの主張を展開した。陛下と個人的にも親しい関係者は「陛下に対して失礼だ」と話す。
陛下の公務は、象徴天皇制を続けていくために不可欠な国民の理解と共感を得るため、皇后さまとともに試行錯誤しながら「全身全霊」(昨年8月のおことば)で作り上げたものだ。保守系の主張は陛下の公務を不可欠ではないと位置づけた。陛下の生き方を「全否定する内容」(宮内庁幹部)だったため、陛下は強い不満を感じたとみられる。
宮内庁幹部は陛下の不満を当然だとしたうえで、「陛下は抽象的に祈っているのではない。一人一人の国民と向き合っていることが、国民の安寧と平穏を祈ることの血肉となっている。この作業がなければ空虚な祈りでしかない」と説明する。
陛下が、昨年8月に退位の意向がにじむおことばを表明したのは、憲法に規定された象徴天皇の意味を深く考え抜いた結果だ。被災地訪問など日々の公務と祈りによって、国民の理解と共感を新たにし続けなければ、天皇であり続けることはできないという強い思いがある。以上ネットニュースより引用。
当然、こうした見方に反論もあるだろうが、陛下のお気持ちはほぼ正確に伝えられているものと思う。それは陛下のお仕事ぶり生き方を見聞きしている者の共通の理解だろう。陛下のお気持ちを不満と表現しているが、私は恐れながらむしろ義憤に近いあるいは大きな落胆なのではと拝察する。
こうした報道に接すると強引な我田引水安倍方式には耐えがたい感じがしてくる。九十年前の日本に戻そうという彼の目標は勢力を維持するため妥協を繰り返し、この十年で大きな変容をきたし、今では変えること私が変えたという功を残すことに目標が変貌しているように見える。
森友問題、加計疑惑そして安倍夫人の行動。これらに対する対応は権力を巧みに操る能力と言葉でまやかす演技力の高さを示しているが、しかしこうした疑惑と妻の行動は賛同者や身内を依怙贔屓する彼の人となりを鮮明に表しているように思われる。