駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

素顔とは何か

2019年11月19日 | 小考

        


 高倉健の養女の手記が発表された。表題や紹介しか読まないので、断片的な情報からの印象だが、映像の高倉健とは違う高倉健が居たらしい?。喧嘩すると二週間口をきかないとか事実上の妻なのに孤高のイメージを守るために養女にした?など、なんだか変な感じがする。長嶋茂雄や高倉健のような熱烈なファンに作り上げられたイメージで崇められるスターは、そのイメージを壊さないために苦労工夫していたらしい。何が素顔かと聞かれると意外に難しいが、家族や友人と過ごす時の反応態度ということだろう。スターでなくとも仕事場の顔と家庭での顔は程度の差はあっても多少違うのが普通だろうが、大抵はさほどの落差はないと思う。以外ではあっても多くはさもありなんと肯うことができるものだ。

 そうして多少イメージとは違っても、あり得ることだなるほどと受け入れられる素顔を持つ人こそ、信用し信頼できると感じられる。勿論、その辺の感覚は人によって異なる。遠い昔、母方の縁で高名なアララギ派の歌人に長良川の名物鮎をお送りしたことがあった。母に聞いたら十匹すべて自分で食べてしまい、一口も妻子に分けなかったそうだ。私は子供心に慾張り爺さんと思ったのだが、母はそうでなくちゃと痛快に感じたらしい。それも大歌人の素顔なのだろうが、それで歌の味わいが変わるものかどうか微妙だ。唯、素顔の物語るものはその人の理解に欠かせないものであることは確かな気がする。楽しい面白い素顔を垣間見せる人に親しみを感じるのは私だけではないだろう。

コメント
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